2009.09.28

久しぶりに「あの人」にインタビューしてきました

1カ月ほど前のことですが、ある人に、本当に久しぶりにお会いしてインタビューしました。
ご依頼いただいたのは、それまでおつきあいのない、ある有名雑誌。
「著書をを読ませていただき、西田さんしかご依頼する相手はいないと思いました」
とのことで、ありがたい限りです。

インタビューした相手というのは、久夛良木健氏。単独のロングインタビューとしては、2年半ぶりくらいになるかと思います。
掲載誌は、なんと「ブルータス」
10/1発売の10/15号にて、プレイステーションの特集を行っており、その一環としての記事になります。

ブルータスは、普段執筆しているAV誌・モノ雑誌・IT誌・経済誌などとはかなり毛色の異なる雑誌ですので、インタビューの内容や記事のテイストも、普段とは違う形になっています。それでも、「久夛良木さんは相変わらず久夛良木さんだ」としか言えない内容になっておりますので、お楽しみに。

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2009.09.03

本を3冊(ほぼ)同時に出します

ご無沙汰しております。
(毎度この書き出しで申し訳ないです)

1月に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先に来るもの」を刊行しましたが、おかげさまで現在に至るも、好調な売り上げを持続させていただいております。本日、7刷り目の増刷が決定いたしました。ご購入、多謝いたします。

さて、本ブログの前回の更新でも触れましたが、今春から夏にかけ、新たな本を執筆しておりました。しかも、同時に3冊、完全書き下ろしで。

正直なかなか量的に厳しく(なにしろ6月から8月までは、月産20万字という仕事量でしたので……)、各方面に様々なご迷惑をおかけしてしまいましたが、無事すべて私の手を離れ、発行日等々が確定いたしましたので、ここでご紹介しておきたいと思います。

3冊のうち2冊は、前著の好評を受けた「クラウド」関連本です。ただし、その内容は前著とも大幅に異なりますし、2冊それぞれがまったく異なるキャラクターを持っています。

まず1冊目。

Sigoto 書名:クラウド・コンピューティング仕事術
ISBN:978-4022732958
発売元:朝日新聞出版
判型:新書
定価:本体740円(税込み777円)
2009年9月11日刊行予定

前著と同じく、朝日新聞出版・朝日新書よりの刊行となります。内容は、題名の通り「仕事術」。前著をさらに個人レベルへと絞り、「クラウドをいかに自分の生活に生かすか」という実践例と注意点をまとめたものとなります。

すでに類書はありますが、特に「各個人が実際に活用する上での留意点」に気を配った上で、「ネットサービスや最新デバイスを使って仕事をすると、実際になにが変わるのか」を、あまりITに強くない人に向けて解説することに気を配り、差別化したつもりです。

ですので、「GTDやライフハックは、ウェブの情報をウォッチしてバリバリにやっている」人には無用の本かも知れません。ですが、そこまで至らない人が大多数なのも事実。ウェブにメールにオフィス、という「古典的PC活用法」から視野を広げたい、という方にお勧めします。

また、そういうテクニックをよくご存じの方にも、「他人に布教するには、どういう点に気をつけるべきか」を知っていただくには良い本だろうと考えます。

次に2冊目。

Salesforce 書名:クラウドの象徴 セールスフォース
ISBN:978-4844327691
発売元:インプレスジャパン
判型:単行本(ソフトカバー)
定価:本体1600円(税込み1680円)
2009年9月18日刊行予定


前著は個人向けの新書、というフォーカスの元に、「個人の生活・社会がどうかわりつつあるか」を描くことに腐心しました。しかし本書では、より企業目線にフォーカスし、「ITシステム構築という業界にとってのクラウド」の価値を考えるビジネス書としました。

題材となったのは、クラウドを使ったITシステム構築の分野で大きな地位を占める、米・セールスフォース社。実際にシステムを導入した企業・団体十数社を取材した上で、「ビジネスシステムをクラウドで作る、ということはどういう意味を持っているのか」を、現在の視点でまとめる内容となっています。

タイトルに「セールスフォース」の名を冠してはいますが、決して「公式本」ではありません。彼らから見れば手厳しいと感じる話や、運用上の問題点などもわかる範囲で書かせていただいています。ですがマイナス面の話以上に、プラスの内容が多いのは事実。同社のシステムを導入した企業の例からは、「日本のITシステム構築が抱える問題とその解決方法」が見えてきます。

同書籍の編集部に全面的な取材協力をいただき、「クラウドの効果」に対して、現時点で言える一つの「客観的な効果」を提示することに成功した、と考えております。(その内容は、筆者の口から言うのもなんですが、政策レベルでの影響を与えかねないほど、少々センセーショナルなものでした)

セールスフォースという企業自身にはあまり興味がない、という方も、「ITシステムはどんな課題を抱えているのか」という視点でお読みいただくことで、かならずや膝を打っていただける本になっている、と考えます。

そして最後の3冊目。

51qiqzrqhzl_ss500_ 書名:最新ケータイを支える技術 −超薄型・高性能の裏側をのぞく
ISBN:978-4774139821
発売元:技術評論社
判型:単行本(ソフトカバー)
定価:本体1580円(税込み1659円)
2009年9月5日刊行予定

 

技術評論社より刊行されております「テック・ライブ!」というシリーズの1冊です。

内容はタイトルを読んでおわかりのように、「携帯電話を支える技術」。

特に、日本のメーカーが携帯電話を作る上で活用している技術について、商品企画からボディの成形、構造解析、ヒンジの「きもちよさ」やCPUの省電力機能、デジカメ機能で使われるハード・ソフトの詳細に至るまで、事細かに採り上げさせていただいております。こちらも「セールフフォース」同様、十数件の取材を重ねた、なかなかの労作だと自負しております。

工学系の本は難しくなりがちで、理系的素養のない人には読みこなしづらい……と思われがちですので、今回は広い「今のモノ作りのメソッド」を、出来る限り平易に、トータルに理解できるよう、心がけたつもりです。ご一読いただければ、みなさんが普段手にしている「ケータイ」が、いかに日本のモノ作りの「総力戦」であるのかが理解していただけると思います。

ただし、国産ケータイのいいことだけを書いたつもりはありません。ここ数年、日本の携帯電話は「ガラパゴス・ケータイ」などと言われ、国際的なプレゼンスを失いつつあります。では、なぜ「ガラパゴス」と呼ばれるのか? そしてそれが、モノ作りの現場にどのような影響を与えているのか、といった点に関しても、現場の声を踏まえた考察を行っています。

「iPhoneはすごくて国産はダメ」とか、「国産端末がマスであり、海外製はニッチ」といった単純な二元論ではない、「本当に良いケータイを作るために必要なものとはなにか」を、現在のモノ作りの現場から探った書籍に仕上げたつもりです。

ちなみに同じシリーズで同日に、大先輩・麻倉怜士先生の「究極のテレビを創れ! ~感動に挑む絵づくり職人たち」も刊行予定です。

以上、更新が毎度宣伝ばかりで申し訳ありません。
できればそれぞれ、お手にとってごらんいただける(もしくはポチっとしていただける)とありがたいな、と思います。

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2009.05.30

ひたすら海外取材

ご無沙汰しております。

現在、成田のラウンジでフライト待ちです。
これから、E3>WWDCと連続で取材に入るための海外出張に出ます。
どちらも色々と噂が先行しているイベントではありますが、なにが出ますやら。

この時期にLA・SFOというと、主にインフルエンザ的な意味で色々あるわけですが。
とりあえず帰国後しばらくは、自主的に自宅中心の仕事とさせていただきます>各位

現在進行中の書籍の原稿を抱えて行くことになるので、少々気が重いのですが、誘惑は海外の方が少ないので、ヨシとしておきましょう。
(本当は書き上げて行く予定だったんですが・・・・申し訳ないです>各位)

記事は例年同様にAV Watchの連載に掲載される他、まとめ記事的にアサヒ・コムのコラムでも扱うことになるかと思います。よろしくお願いいたします。

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2009.01.16

重版決定しました

クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先に来るもの、重版が決定しました。
お買い上げ、多謝いたします。
実質的に8日より発売になったのですが、休み明けの13日には重版が決定したとのこと。これまでに私が出した本の中でも、もっとも速いペースで売れています。まだお手にとっていない方は、ぜひご一読をお願いいたします(笑)

さて、CES取材でも感じたのが、この本で書いた傾向は、はっきりと、より急速に現実化する方向にある、ということです。
アメリカの場合、テレビのインターネット接続が急速にすすんでいます。Intel/Yahooが規格化する「TV Widget」を採用するメーカーが激増している状況で、米国市場大手の場合、パナソニック以外はすべて賛同し、対応テレビのデモンストレーションを行っていました。あるメーカー担当者は次のように話します。
「組み込みの貧弱なウェブブラウザで、無理矢理独自のサービスを表示するような形は、もうニーズに合わない。日本でも同じようなサービスを導入できればいいのだけれど」
また、ソニーやサムスンがChumbyに賛同、ChumbyのWidgetをそのまま使える機器の市場投入を検討している、というのも、同じ流れといえるでしょう。
テレビなどの家電で使えるネットサービスを、PCと同じ技術で、同じものが使えるという流れは、まさにクラウドのひとつの形を表したものです。ある意味当然のことではありますが、「ネット上に提供される情報」「ネット上で公開されるサービス」はPCのものではなく、ネットへの接続機能を持った、あらゆる機器で使えるべきものである、という姿が、ようやく実現しつつある、といっていいでしょう。

他方で、アメリカ市場の冷え込みは、かなり深刻なものとなっています。幸いなことに、昨年末のテレビ市場・ブルーレイ市場は堅調であったものの、消費者が遊興費に充てる額が大幅に減りつつあるのは事実。ラスベガスの街は、これまでにないほど人が少なく(といっても、相当な人出であるのは事実なのですが)、普段なら数百ドルもとるような超高級ホテルでも、一泊90ドルで泊まれる、というくらいの不景気ぶり。家電メーカーなども、コスト削減のため、人件費のカットはもちろん、設備投資を大幅に凍結するのでは、大規模投資計画の見直しが続くのでは……との噂が耐えません。
「なら、クラウドなどというまだよくわからないものへの投資はしないのでは?」と思われるかも知れません。
確かに、ある程度減速はするでしょう。しかし、むしろこのような厳しい状況に対応するために、クラウドの導入を考える企業がでそうです。
企業にとってクラウド化するということは、企業のコンピュータ・リソースの一部を、ニーズにあわせて流動化できるということでもあります。言い方を変えれば、かの悪評高き「派遣社員利用による雇用の流動化」に近い特質をもっているわけです。クラウドを採用したからといって、コストはさがりません。ですが、その特質をうまく使うことで、社内リソースの有効活用が可能となるのは事実です。
設備投資がきびしい中で、いかに適切にコストをかけるか。
平凡でシンプルな話ではありますが、現在クラウドが置かれているのは、そういう状況なのです。

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2009.01.04

あけましておめでとうございます

おくればせながら、新年のご挨拶を申し上げます。
本年も筆者の記事を、各媒体にてご愛読いただければ幸いです。

年初はAV Watch・CESレポートからの仕事始めとなる予定です。
その他Web媒体では、少し遅れてASCII.jpに、主にPC関連のレポートを掲載予定です。

なお、1月中に、別途新たにWeb媒体での連載を開始する予定です。
告知できるタイミングになりましたらご報告させていただきます。

まずは、新書「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先に来るものをよろしくお願いいたします。

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2008.12.29

今年もお世話になりました

今年も、更新が少なく申し訳ないです。
年明け前に、久々に更新させていただきます。

今年もなんとか乗り切ることができました。ひとえに、読者の皆様と、仕事をご依頼いただくメディアの方々、そして、取材にご協力いただく企業・個人の皆様のおかげです。
誠にありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

本来はもうちょっと更新すべきだろうと反省しているところですが、なかなか手が回らないのが実情で……。
ほぼ毎日更新できる小寺さんは尊敬します。(いや、ほんとに>小寺さん)
来年は、本田さんよりは更新するのが目標です。(冗談ですから>本田さん)

年初は、例年どおりCES取材から始まります。ご愛顧よろしくお願いいたします。
さすがに今年のCESのように「乗り継ぎ中の空港で大ニュースがとびこんで来る」ようなことはないだろう、と思いますが、なにがでてくるやら。

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2008.05.29

ご無沙汰です&告知

ちょっとご無沙汰です。
今回は本を執筆していた……というわけではないのですが、少々多忙にて更新が滞ってしまいました。
(とはいうものの、次作のプロジェクトはスタートしました。内容をお伝えできるのはずいぶん先になると思いますが)

おかげさまで、拙著「美学vs.実利」の販売は好調なようです。皆様のご愛顧に感謝いたします。
blogからアフィリエイトを通じご購入いただいた方も、予想以上にいらっしゃいました。
そこからの収入で、ありがたく「ヘアスプレー」BD版を査収させていただきました。
(逆にいえば、その程度の売り上げとご理解ください。元々アフィリエイトにはまったく熱心でないサイトなのですが、今後も、本文中で採り上げるのは基本的に自分の著作のみとする予定です)

「書店でみつからない」とのお声もあるようですが、申し訳ありません。素直にアマゾンなどのオンライン書店でお買いいただくか、注文いただくのが良いと思います。
そこそこの冊数を刷っていただいているのですが、全国の書店に行き渡るほどではないのです。現在の出版業界の状況では、「ベストセラー以外は、大多数の書店には並ばない」ものなのです。残念ながら。

また、告知が遅れましたが、5月よりASCII.jpにて「西田 宗千佳のBeyond the Mobile」という連載を開始しました。AV Wacthの連載が「ほぼ取材、時々レビュー」だとすれば、こちらは「ほぼレビュー、時々取材」なものになるかと思います。ご一読ください。

基本的に隔週での掲載で、すでに2回分の掲載を終えています。ちなみに次回は、上のリンクの写真にも写っている、アレです。

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2008.02.16

表記ミスにもほどがある

海外出張に行った時の楽しみは、向こうで売られている映像ソフトを買ってくること。
特に、Blu-ray/HD DVDの世代となってからは、米国と日本のリージョンコードが同じになり、メインの機材で気軽に視聴できるようになったのがありがたいです。

というわけで、今年の1月にも、Blu-rayのソフトを一山ほど買ってきました。

実は今回に関しては、狙っていたソフトがありました。
それは、「ブレードランナー アルティメット・コレクターズ・エディション」です。
ワーナーは、日本でブレードランナーのBD/HD DVD版の発売を予定していたのですが、発売が延期されており、いまだに予定が公表されていません。
ところが米国版はすでに発売済み。
しかも、同梱のファイナルカット版には日本語字幕が入っている!

というわけで、ライター仲間にも、このソフトの購入を「ミッション」と言い切る人も少なくありませんでした。
私も、某店でまずブレードランナーを手に取り、それから、日本未発売のソフトを中心に、めぼしいものを探しはじめました。

と、そこで、目についたソフトが一つ。

それは、「プリズン・ブレイク シーズン1」のBlu-ray版です。
ご存じ大ヒットドラマシリーズですが、日本で発売されているのはDVDのみで、Blu-ray版の話はまったく出ていません。

ふと手にとって、裏面を確認すると思わず心拍数が上がってしまうような表記が!

Pb_back「Audio: Japanese」
なんと、日本語吹き替えも入っている、と書いてあるではありませんか! 同様に日本語字幕の存在も書いてあります。

実は私、吹き替え洋画/ドラマには目がありません。
(だから、テレ東放映の映画はデフォルト予約、です)
プリズン・ブレイクはDVDですでに視聴済みでしたが、吹き替えの出来の良さは記憶に残るものでした。 特に、若本”ティーバッグ”規夫氏の怪演は有名なところでしょう。

値段も、88ドル強。 こりゃあ買わないわけにはいかない! すでに数枚抱えていたディスクに加え、レジに向かったわけです。

……というのが1ヶ月近く前の話。

先日、やっと時間ができたのでプリズン・ブレイクを見よう! とパッケージのシュリンクをとき、BDプレーヤーに入れたのですが……。

あれ?

メニューを見ても、音声のリストに「Japanese」はありません。 もちろん、字幕の方にも。

あわててネットで調べて見ると、なんと米国版プリズン・ブレイクは、発売直前になって日本語音声/字幕の収録が中止になった、とあるではないですか。

おいおい、ならパッケージに記載しないでよorz
まあ、プリズン・ブレイク(特にシーズン1)は好きなドラマなので、それがHD画質で手に入ったことそのものはいいのですが、やっぱりがっくり。
日本ではあり得ないパッケージングのミス、ということで……。

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2008.02.14

「学ぶ事を学ぶ」−OLPCについて

ちょっと前の話になりますが、今年のCESの話を。

今回もっとも興味深かったのは、ビル・ゲイツのラスト・キーノートでも、「ワーナーショック」でもありません。おそらく、日本のメディアは一つも採り上げていない、あるキーノートの内容でした。

そのキーノートの主は、ニコラス・ネグロポンテ氏。

「100ドルPC」と言われる、「One Laptop Per Child」(OLPC)計画の中心人物です。

Eee PCのヒットもあり、低価格PCが脚光を浴びていますが、OLPCとそれらの製品は、狙いが大きく違います。OLPCは、発展途上国の教育水準を上げるためのプロジェクトであり、低価格モバイルガジェットの開発計画ではありません。

(このあたりの詳細については、PCFan誌にて掲載中の連載・「デジモノ語り」の、3/1号[2/15発売]記事にてご説明させていただいています。ご興味があればご一読ください。)

ネグロポンテ氏は、コンピュータを子供たちに与えたい、と考える理由を、 「学ぶことを学ぶため」 と語りました。

その件に関する彼のスピーチが、私に大きな衝撃を与えたわけですが、ここではその中の一節をご紹介しましょう。

ーーーここから

円をコンパスで描く作業と、コンピュータでプログラミングして描く作業。

どちらが学習のためには有用だと思われますか?

答えは、「コンピュータで描く」方です。

コンピュータで描かせるには、「円を描く」という行為がどのようなものか、正確に理解している必要があります。道具の使い方を覚える以上の、論理的な理解が必要なわけです。

それに、もう一つ重要なのは、「最初は正常に動かないだろう」ということです。

きっと、円が半分しか描かれなかったり、途中で実行が止まってしまったりするでしょう。 正常に動くようにするには、プログラムを先頭からたどり、どこに間違いがあったのかを見つけ出す必要があります。この課程で子供たちは、「円を描く」ということが、本当はどういうことなのか、を理解することになるわけです。

それに、正しいスペルを学ぶにも有効です。タイプミスをしたら、動きませんからね。……スペリングは、私もいまだによく間違うんですが。(苦笑)

私たちは、子供たちにグーグル(の検索)を与えたいわけでも、MSオフィスを渡したいわけでもないんです。それらはビジネスなどでは有用ですが、決して教育用、というわけではない。

単に「ネット検索」を与えるのではなく、自分で「学ぶ」環境を用意してあげたいのです。

ーーーここまで

この一節に、私はうなってしまいました。コンピュータと教育に関する本質的な問題が含まれているからです。

ネグロポンテ氏の言う「プログラムで円を描く」というのは、おそらくLOGOのようなプログラミング言語を使うことを想定したもので、BASICのCIRCLE文で一発、という話ではありません。すなわち、「中心から一定距離を保った点の集合」という、円の本質的な定義を理解する、ということに通じています。プログラミングを通じて学ばせたいのは、コンピュータの使い方ではなく「論理的な思考」だからです。

少し前、私は某大手IT企業の採用担当の方を重点的に取材したことがあります。

そこで必ずキーワードとなったのが、「論理的な思考能力」の有無でした。

「大学でITを学んだ人でなくとも、論理的思考能力があれば、戦力としてさほど問題はありません。しかし、ITを学んだ人であっても、それが出来ているとは言い難い」

ある担当者はそう話します。 論理的思考能力を身につけることの難しさは、ちまたに「論理的思考能力」に関するノウハウ本があふれている点からもおわかりでしょう。

他方、教育の現場では現在、コンピュータの授業を行う際にも、専門的な授業でない限り、プログラミングに関する授業はほとんど行われていません。パソコンを利用する上で必須の技術ではないためです。
実際問題、プログラミングを教えたとしても、そこから「論理的思考能力」を学べるようなカリキュラムを作るのは簡単ではないでしょうし。

といったところで、我が身のことに思い至ります。

私は、ちょうど小学校・中学校時代に「マイコンブーム」をくぐり抜けた世代で、小学校時代からプログラミングをしていました。

といっても、まともなソフトを作るようになったのは高校になってからで、小学校の頃は、雑誌に載ったゲームのプログラムを、ゲームやりたさに片っ端から入力する、という感じでしたが。

当時は「西部労働レストラン(save、load、list、runしか使わない人)」などという蔑称があったわけですが、考えてみれば、これも論理的思考の育成には役だっていたのかも知れません。なにしろ一発で動くことなど皆無で、ゲームを楽しむ時間より、デバッグしている時間の方が遙かに長いという代物でしたから。ゲームを買ってもらうのも難しかったですから、プログラムを入力することは、論理的思考能力を身につけるための、実にいい「ニンジン」だったわけです。

私が小学校からパソコンを使っていたことを知っている人は、「IT系のライターになったのもその辺が関係を? やっぱり長く使っていると蓄積が……」といいます。

ですが、私はいつも「あんまり関係ないですよ」と答えてきました。なにしろ、当時のコンピュータと今のIT事情は、天と地ほど違うわけで、蓄積にもならないわけですから。

ですが、このようなエピソードをふまえて考えると、小さい頃に「マイコンブーム」があったことは、あながち意味のないことではなかったかも知れません。

ライターは、取材にも記事執筆にも「論理的思考能力」が必要とされます。仕事をする上でこのような思考法は非常に役に立っています。それを身につける上で、「ゲームやりたさ」がプラスになっていたとすれば、非常に面白いな、と感じます。

ここで時代を今に移します。

現在の小中学生は、おそらくほとんどの場合「プログラミング」などしないでしょう。

これだけ優秀なゲームがあふれていれば、子供が出来る程度のプログラミングでできるゲームは「ニンジン」にならないでしょうし。

彼らに、「論理的思考能力の成果のおもしろさ」を伝える、よい「ニンジン」があればいいのですけれど。もしかするとHTMLでのウェブ構築などが、プログラミングに代わる「論理的思考能力の育成」に役立っているのかも知れません。

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2008.01.30

更新を再開します

すっかりご無沙汰しております。

かれこれ1年ぶりとなりますが、更新を再開します。
更新をしていなかった理由は、ある書籍の執筆に時間を回すためです。
本来は、もっともっと早く出ている予定だったのですが、種々の事情により、ようやく出版にこぎ着けました。
企画スタートから2年半もかかっており、単純にコストでいえば赤字です。
(実際のところ、某氏からは「こんなに紆余曲折があるプロジェクトは、一生に何度もないよ」と言われました……。理由の半分くらいは、自分の遅筆ですから、まあしょうがないのですが)

といっても、1年間、すべての余暇をその本に回したわけではありません。もちろん。
種々の事情でストップしている間には、何度か更新を考えたりもしたのですが、なんとなくキリが悪い感じがしたので、夏あたりから、「本が出るまで更新しない!」と決めておりました。
……まさか、年を越すとは思わなかったですが。

ようやく、私の側の作業がおおよそ終了し、あとはビジネス的な準備などを残すのみとなりました。
どんな書籍なのか、どこから発売になるのか、といった正式な情報は、来週にもお知らせできる予定です。もう少々お待ちください。

色々あっても止めなかった、というあたりから、内容に対する意気込みを感じていただければ、と思います。

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2006.04.18

告知

ちょっとだけ宣伝・告知を。

20日より、インプレスのAV Watchにて連載を始めます。
面白そうだと感じる話題について、特にテーマは設けずに取材していく予定です。
どうかご贔屓に。

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2006.02.18

ネットメディアと紙メディアと

1ヶ月も更新をお休みしてしまいました。
風邪を引いて1週間近く寝込んだり、とにかく忙しくて大変だったりと色々ありますが、要はさぼっていたわけです。誠に申し訳ない。
(一応ネタメモはちょこちょこ書いていたのですが、それはまたそのうち公開させていただきます)

ちょっと(いろんな意味で)寂しいネタから。
ご存じの方もいるとは思いますが、私が紙媒体としてはメインに書いているアサヒパソコン誌が、今月末、28日に発売される3/15号をもって休刊することになりました。
私自身はけっこう前から知っていたことで、さらに言うなら、相当前から覚悟していたことなので、驚きやショックはないのですが、思い入れのある媒体でもありますから、やっぱり寂しいことは間違いありません。

私はもちろん今後とも、他の紙媒体やウェブ媒体で仕事をしていくことになります。そちらでご愛顧いただけるとありがたいです。
(とはいうものの、短期的には仕事量が減る可能性があるので営業活動中です。ありがたいことに、いくつかの媒体様にはお声がけいただいておりますが、ご興味のある媒体関係者様がいらっしゃいましたら、メールにてご連絡いただけると幸いです)

アサヒパソコンに限らず、PC関連誌というのは、現在業績が非常に厳しいのが実情です。この春、複数の雑誌が休刊することになっており、今後も淘汰がすすむことでしょう。
なぜPC誌が苦しいのか、ということは、いまさらいうまでもないと思います。PCに関する情報の多くがウェブで入手できるようになった結果、雑誌はコストと情報鮮度の面で不利になったためです。
いまや、状況はさらに進んでいます。ネットと親和性が高い情報ジャンルにおいては、「ネットから読めない情報はないのと同じ」に近い状態となっています。実のところ、記事のクオリティや情報の密度という点では、雑誌がウェブに負けているわけではありません。雑誌や書籍などでオリジナリティの高い情報が掲載されていても、それがネット上で紹介されるまでは、その情報にリーチ出来る人が少ないため、いっこうに伝播しないわけです。

雑誌記事が話題となる場合にも、
・.2ちゃんねるなどの大規模掲示板や、注目度の高いリンク集系ブログで紹介される
          ↓
・雑誌そのものを買った人がそのスキャンや引用をネットにのせる
          ↓
・その記事を「買う」「立ち読みする」「スキャンを読む」などの方法で読む人が増える
という経路をたどることがほとんどです。

このブログを始めてもうすぐ1年になるわけですが、実はこのブログを始めた理由の一つは、上記のサイクルが正しいか、ということを確かめたい、という部分がありました。ブログで「こんなことを書いた」「こんな情報がある」ということをお伝えすると、それが「引用」「トラックバック」「リンク」などの形で伝播していき、最終的に記事へのコメントとして帰ってくる、というサイクルを何度か体験することが出来ました。

実際問題、消えていく雑誌の多くは、非常に良い内容を掲載していながらも、ウェブへその情報が伝播していきにくい媒体ばかりです。コストの問題もあるので、単純に「記事をウェブに転載すればいい」という話ではないでしょうが、雑誌自身の広告として、高感度な人々に向けて「他人に紹介してもらうための記事」を公開し、リーチを増やすようなビジネスモデルを組み込んでいくことが必要だと考えます。

というわけで、最後に少し宣伝を。
アサヒパソコン最終号に、SCEの取材記事を掲載します。本来はPS3の発売が見えてくる、もう少し後に露出したい記事であり、必ずしも満足行く情報量とは思っていませんが、事情が事情なのでこの号に掲載することにします。PS3とCELLに関し、一次ソースに基づいたいくつかの情報をご呈示できるものと思います。
もちろんこの記事のあとにも、より濃いお話を、またまったく違う形でご提供することになりますのでご期待いただけると幸いです。

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2006.01.03

CES取材・ラスベガス入り

みなさま、あけましておめでとうございます。

現在私は、CES2006取材のため、米・ラスベガスにいます。
今日は移動のみで、本格的な取材は明日以降。
まだプレス受付すらしていません。

でも、すでにひとつ発見が。
DSC_0003
空港には、インテルがCES出展をアピールする垂れ幕を大量にかけている
のですが、この幕のロゴが、すでに今日発表された新ロゴになっていました。

なんか、ダイエットしすぎてインパクトがなくなったような……。見慣れたロゴのデザインが微妙に違うのは居心地が悪いものです。


取材内容は依頼記事優先のため、すべてをここでお伝えすることはできませんが、ちょっとした雑感やこぼれ話をアップしようかと考えています。

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2005.12.29

問題は年を越え

年内最後の更新です。
といっても休暇があるわけではなく、年明け後に向けた原稿を書いたら、すぐに米・ラスベガスで開かれるCESと、サンフランシスコで開かれるマックワールドの取材に向かわねばならないのですが……。

2005年は、なにかと「著作権を守ること」と「個人の権利を守ること」の話題が多かった年です。
年初にはどうなるかと思われていたiTMSの国内サービスも開始され、デジタル放送の家庭内LAN伝送も許可され、パソコンでのダビングすら実現するところが出てきました。HD映像のアナログ出力問題も、とりあえずはOKになりそうな雲行きです。コピーワンス制限の見直しも考えられています。
(最後の2つについては、現在取材中です。1月には、もう少し詳しい話ができるようになるのでは、と思います)

もちろん、いいことばかりではありません。
しかし、「もう問題を先延ばしにできない」という意識が関係機関に生まれ、様々な動き始めたのは評価すべきでしょう。少なくとも、「マス広告でモノを大量に売る」という古典的なビジネスモデルだけでは成長が維持できない時代である、ということが認識されたのは事実です。

2006年にはどうなるか? おそらく残念ながら、「自由になる」ことはあり得ません。暗号化技術を使って縛りながら、利用者側に納得できる範囲を目指す形がはっきりしてくるのが、2006年という年になるのではないでしょうか。その最右翼が、次世代DVDとオンライン配信になるのは間違いありません。

さて、では2006年の話題はなにになるか?
次世代DVD戦争は、春のPS3発売で一つの終わりを迎えます。(CESで、すでにある程度の結果が見えることでしょう)

年末のウィンドウズVista登場に向け、パソコンの話題も増えるでしょう。ただし、もはやOSが刷新されたからといって、パソコンの消費が爆発するようなことはありません。むしろ、現時点でのソフトの出来から予想するにh、同時期に登場するはずの「次期MSオフィス」の方が、ユーザーメリットは大きいのではないか、とも思います。

9月から10月には、携帯電話のナンバーポータビリティ(MNP)が始まり、同時期にはソフトバンク・イーアクセス・アイピーモバイルなどの新規事業者も動き始めます。巨大市場であるだけに、もっとも大きな話題となるのはこれかも知れません。

一つだけいやな予測をしておきます。MNP開始に向け、各社は大量のマーケティング費・販促費を投下します。顧客の取り合いのため、様々な販売代理店にお金が流れ、販促活動が繰り広げられます。以前、「マイライン」で起きたような、ムダな宣伝合戦や強引な個人向け販促によるトラブルが起きるのは、間違いありません。
そうしたくない人々もいますが、ここで動く販促費にビジネスチャンスを感じる人々がいる以上、避けようがないのです。

ここ数年より、パソコンの話を書くことが増えるかな……という予想はありますが、とりあえず、2006年も忙しい年になりそうです。

来年もよろしくお願いします。

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2005.08.12

天の光はすべて星

…といえばフレデリック・ブラウンですが。

セガ・トイズの家庭用プラネタリウム「HOMESTAR」が届きました。
発売が遅れに遅れ、どうやらシルバーの方は8月27日発売になったようですが……。

この商品は、メガスター開発者である大平貴之氏監修によるもので、圧倒的な星の量が特徴。家庭用というと、ピンホール式で数百個星が出れば御の字、という常識をうちやぶり、1万オーバーを実現しています。

実際に映写してみると、写真のような感じです。(クリックで拡大)
P1070813

本物のプラネタリウムと違い、一色の光源で平面に投射するため、実際の星空さながら…というわけではありませんが、クオリティはかなりのもの。レンズのピントがきっちり合うと、驚くほど鮮明な星が現れます。
(私は乱視なので、ピントがなかなか合わなくて苦労しました。最初「え? こんなもん?」と思ったのですが、ピントが合うと評価が一変しました)


プラネタリウムとしてのシミュレーション性は皆無で、星空を投射して楽しむ「環境おもちゃ」的なものですから、案外飽きは早いかな、とも思いますが、かなりおすすめです。(学習効果をねらって買うのなら、パソコン用のプラネタリウムソフトの方がいいかな、と思います)

レンズのクオリティが低いため、周辺部がゆがんでいるとか、1枚の原盤で全天を一気に表示するため、月や惑星などが再現できないなどの難点もありますが、この値段でそこまで望むのはちょっと贅沢というもの。

むしろ、この映像をバックに、プロジェクターかなにかでパソコンのプラネタリウムソフトで作った月や衛星の画像を重ねてやるとどうだろう……という野望が浮かんでくるくらいです。
(愛・地球博で展示されているメガスターでも、星座ラインや流れ星などは、メガスターの映像上にプロジェクターでCGを重ねているようです。同じアプローチで遊べるかも…)

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2005.05.06

あの団体が作っていたこんなソフト

休暇明けで、久々の更新です。(なにしろ、ここから7月くらいまではノンストップなもので、すこしじっくり休みました)
今日は短めに、ふと思い出した、昔話を。

それは13年くらい前の話。まだ学生であり、バイト感覚でライターとしてデビューしたての頃の話です。

ある雑誌の編集部に、あるところからソフトが送られてきました。白い段ボールの紙箱に、20枚程度のフロッピー。(まだCD-ROMは普及前でしたし)さらには怪しげなISAバスのカード。
マニュアルはワープロで作成したものをコピーしたもので、あくまで「暫定」のもののようでした。そのマニュアルによれば、対応プラットフォームは、MS-DOS 5.0Vを搭載したIBM-PC/AT互換機。ジャンルは「教育ソフト」となっていました。

送付元は「オウム真理教」。
彼らが教団のビジネスとして販売を計画していた教育ソフトのサンプルを送ってきたのです。

タイトルは「数学勝利者」。俗にいうドラクエタイプのRPGになっており、主人公が数学の問題を解きながら真理を追求していく・・・という型式になっていました。
どうやらこのソフト、教団内で子供の教育に使われていたものを市販しよう、ともくろんだもののようです。文面や画面などに、強い宗教色・思想色があったことを憶えています。
残念ながら正確な価格は記憶にありませんが、数万円の値が付けられており、とても売れるようには思えませんでした。付属のISAバスのカードは、ソフトのコピーを防止するハードウエア・コピープロテクション・キーの働きをするものだったようです。

坂本弁護士事件も発覚前であり、長野・東京でサリン事件が起きることなど思いもよらなかった頃の話です。
資金集めを目的としたパソコン安売り店「マハーポーシャ」の開店も、ソフトの送付とほぼ同時期のことだったと記憶しています。
さすがに「怪しげな教団」である、という認識はありましたから紹介はされず、そのままどこかに放置され、失われてしまいました。

ちなみにこのゲーム、主人公の名は「マイトレーヤ」。教団内でマイトレーヤといえば、上祐史裕氏のことを指しています。

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2005.04.12

放送とネットの融合の根本は「利益の算出」に

ちょっとしたアイデアを思いついたので書いてみます。

こういうタイトルだと、ライブドアとフジの話題になるわけですが。元々はこちらのジャンルの話だったのに、すっかり一般紙向けの話題になってしまいました。

経営戦略の話はともかく、株取引を伴うM&Aについては専門外ですから、この点については触れません。今回の話題は、よくいわれる「放送とネットの融合」についてです。

ネットをよく知る人間であればあるほど、この言葉に違和感を覚えているのが実情です。
「そんなもん20世紀から言っている。なにをいまさら」
「放送電波かIPパケットかという違いだけで、本質的にレイヤーが違う話」
ネット関連の仕事をしている人にとっては、本音はこんなところではないでしょうか。

が、今言われている「放送とネットの融合」とは、そういう話ではないのです。インフラとしての放送とネットの融合に関しては、いまさら語ることはありません。ですが、「利益源泉としての融合」については、まだ議論も行われていませんし、ビジネスモデルの構築も不十分です。

堀江氏のいうとおり、放送局はネットで「番組宣伝サイト」程度の経済効果しか生み出しておらず、利益源泉としてははなはだ心許ないと言わざるを得ません。(ただし、それ以上の提案が堀江氏側から見えてこないところは、落胆させられますし批判されてしかるべきです)

じゃあ、その利益源泉とはなにか? それは番組の有料ネット配信……という話になりますが、こちらはまだ権利処理や配信コストなど様々な問題を抱えており、ビジネスとして利益を生める体制は作りづらいのが実情です。

(むしろ、パケット定額制の携帯電話に向けた配信の方が、短期的にはビジネスになりやすいでしょう。すでに3桁万台近く普及しており、課金ビジネスモデルも確立している上に、著作権保護も容易です。まあ、「番組が観たい」という顧客ニーズに応えるものかはともかくとして。携帯電話向けのコンテンツビジネスにはすべての局が乗り出している点からわかるように、彼らも利益をみすみす逃すほどビジネスに疎いわけではありません)

というわけでここからが本題。

ネット配信でなく、放送局のコンテンツとネットの特質を組み合わせるには?
答えは「融合させない」。並立して楽しませるのが現実的でしょう。

テレビを見ながらウェブを見ている人は非常に多い。(このネットアンケート調査によれば65%。2003年と少々古い調査ですが、もっと最近のデータでも似たような結果だったと記憶しています)

なら、一緒に見せてしまえば? でも、テレビ画面にウェブを見せるのは操作性などの面でナンセンス。

というところで思い出したのが、2ちゃんねるなどにある「実況」系の掲示板。番組を観ながら読み書きすることで、「みんなでつながってテレビを観る」という感覚を味わえるという点では、今もっともテレビとネットが融合している場所、とも言えます。

なら、「実況」という形を積極的に利用してはどうでしょう?

ここで一つのアイデアを加えます。
チャンネルを切り替えると、自動的に実況の掲示板も切り替わる仕組みのブラウザを用意したらどうでしょう?
ついでに、掲示板のリロードも自動化し、番組を観る感覚でその実況版も「読める」ようにしては?
テレビのチャンネル/番組に対する実況行為そのものを、一つのコンテンツにしてしまうのです。テレビ領域の横とか下に2レス分くらいの最新の書き込みが常に表示されているような感覚です。

ここにビジネスチャンスが生まれます。
掲示板そのものは有料コンテンツたり得ませんから、利益は産めません。しかし、「どれだけアクセスされたか」という統計データからは、大きなマーケティングデータができるため、利益を発生させられます。チャンネル切り替えと実況板切り替えが同期しているということは、「チャンネルをひねった回数」が正確にカウントできるということ。これ以上ないくらい正確な「視聴率調査」になります。

実際には、「ネット利用者かつ掲示板の利用者」の視聴率という、きわめて限定されたデータしかとれないわけですが、母集団のプロファイルが不確かな統計データ(多くのネット市場調査はここに問題があるといわれます)よりは貴重でしょう。

実現にはプライバシー処理も含め、いくつか問題もありますが、テレビ局を買わなくても、まあこのくらいの「融合」ならできるという思考実験ということでお許しを。

実況と融合させるかはともかく、このアイデアと同じ要領で、番組に寄せられた意見をリアルタイム表示する、ということはすぐにできるでしょう。「朝まで生テレビ」などの討論系や、ニュースなどで有効かと。
(写すに適さない不穏当な書き込みは省いた上で表示してもいいわけですし。削除の基準をあらかじめ明確にしておけば問題はないでしょう。)

まじめなところ、けっこうおもしろいと思うのですがどうでしょう?>各位

実現時のアイデア料は、実現プロセスと運用データの独占取材とバーターということで、ひとつ。

ご利用は計画的に。

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2005.03.09

巻頭言

いろいろ考えた末に、ブログを(今頃)始めることにしました。
おそらく、ほとんどの方にとっては「はじめまして」。
私の記事を読んでいただいたことのある方には「お引き立て誠にありがとうございます」。
そして、業界関係者の皆様には「お世話になっております」。

IT系フリーライターの西田 宗千佳と申します。
紙媒体を中心に記事を執筆させていただいております。今後もメインの仕事はそちらですので、よろしくお願いいたします。

さて、今頃ブログを始めること、逆に”今までやっていなかった”ことには理由があります。
意外だし、時代遅れと言われそうですが、職業ライターが、直接仕事に関連する内容のブログを公開するには、いくつかのリスクがあり、公開をためらっていました。
別にタダで原稿を読まれたくない、わけではありません。
(そりゃあ、商品ですしオアシをいただきたいのは山々ですが)

問題は、日々「公開してはならない情報」に触れている、という点です。
といっても、圧力や陰謀なんて関係ありません。(このブログでは、その辺の話もする予定ですが)
この業界には、「秘密保持誓約書(NDA)に基づく情報開示」というシステムがあります。一番多いのは、正式発表日に間に合うように記事を書くため、事前に情報を開示してもらう、というパターンでしょうか。(ですから我々は、皆さんが知るより早く、商品の情報を知っていることがほとんどなのです)

当然ですが、公開可能日前に情報を公開するつもりなどありません。
が、個人で作るブログでは、「ついうっかり」がないとは限らないのです(残念ながら)。複数の筆者・編集者で作る雑誌やウェブニュースでは、何段ものチェック機構が働くため、そういう問題は普通起きませんが、うっかりしがちな個人の場合、ブログを作って職業上の情報を書くこと自体がリスクなのです。
(なので実は、一時、名前を隠して趣味情報を公開していたことはあったりします)

私の場合、常時10から20程度のNDAを抱えています。
しかもその情報は、商品名やスペックのみならず、販売戦略など多岐にわたります。まとまった話を書くと、けっこう「穴を踏まない」ことに気を遣うものです。

というわけで、公開のメリットと「間違いを犯すリスク」を考えると、これまで公開には踏み切りづらかったわけです。(リスクを過大評価している、度胸がない、と言われれば返す言葉はないですが)
しかしそれでも、ブログを公開することにしました。記事にするには小さな、でも知って欲しい情報や意見が増えてきたからです。

我々は、どんな記事を書くにしろ、誌面で公開する以上の情報をまとめ、取捨選択した後にカタチにします。
切り捨てるのは、スペース的に収容しきれない情報や、記載することで論旨が複雑になり、わかりづらくなる情報が主。90%以上の情報を捨てることも珍しくありません。
まとめる段階で捨てる情報とはいえ、中には、他の場所では公開されていない、非常に価値の高い情報もあります。
一次情報を扱う者として、他誌や他のブログ、BBSの書き込みなどを読んで、「あ、あのネタが公開できればこの話の真相がわかるのに」と感じることが非常に増えてきました。
しかし、紙やウェブニュースといった媒体では、やはりまとまった「記事」にならないと公開できません。
となると、ブログをたてるしかないな、という結論に至るわけです。

長くなりましたが、以下に本ブログの運営ポリシーを公開します。


1. 裏情報ページではない

公開する情報は、すべて正当な取材と公開情報に基づくものです。
私自身が実際に見聞きしたこと(俗にいう「ぶら下がり取材」を含む)、私自身が感じたことだけを書き、伝聞に基づく情報は記載しません。
可能な場合には、情報ソースも公開します。(ウェブが元の場合は、無条件公開です)

2. 公開された情報は、私を介した二次情報である

公開する情報の著作権は私にあります。
公開された時点で、私の意志・判断が介在しており、一次情報ではありません。 出展元を明かした上での引用は、常識の範囲内で行っていただいてかまいませんが、あくまで「筆者の主観の入った記事である」ことをお忘れなく。
私の職業倫理にかけて、情報の信頼性は担保したいと考えますが、人間のやることですので残念ながら100%ではありません。

3. 特定メーカーにつながるアフェリエイトは掲載しない

アフェリエイトを設けますが、自分の中で以下の条件をつけます。

 ・直接利害関係が発生する企業のものは扱わない
 ・自分の意志で製品を選んで紹介をしない

要は、先方が自動選別するものだけを使う、ということです。李下に冠を正さず。
アフェリエイトを設ける理由は、収益源、という以上に、現在売れている商品の情報や、「この関連情報にはこういう広告が出る」という情報の一つとして、眺めて楽しんで欲しい、ということです。無論、クリックしていただければ幸いなわけですが。
実際には、Amazon・Googleは取材先・批評先となる可能性があり、厳密に言えば「直接の利害関係が発生する」わけですが、その辺は運用しつつ考えていこうと考えています。

4. 電子メールなどでの個別の質問には応じかねる

残念ながら、商品に対する問い合わせや使い方などに感する問い合わせには応じかねます。
掲載した記事に関する内容については、コメントおよびトラックバックで提示していただければ、後日可能な限り返答いたします。

ちょっと重い話になりましたが、あんまり深く考えず、よろしくお願いいたします。
(というか、こんな長い記事は、
もう掲載しないだろう・・・)

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