2006.11.16

「ゲーム屋」さんたちの「速度感」

PS3発売から1週間が経過しました。
発売日の行列と転売に関するゴタゴタについては、正直色々と思うところがありますが、それはまたいずれ。

自分の記事でも書きましたし、他の方の記事でもおわかりのように、PS3のハードは、この時期に作られたものとしてはほぼ満点、といっていい出来です。(ソフトについてはまた別ですし、仕様面で100点だとはいいませんが)

PS3をさわっていて感じるのは、「これは本当に『ゲーム機の速度感』の家電だな」ということです。ディスク認識からメニュー操作まで、とにかく動作速度が速い。端から端までが「打てば響く」リアルタイム感で統一されています。
これが一般的な家電ではそうはいきません。不快なレベルではないものの、速度よりも価格や省電力性能が重視され、ユーザーが待たされることも少なくありません。
ゲーム機と家電の間の速度感を持つのがケータイ。動作はゲーム機ほど速くありませんが、家電よりは速く、ユーザーにストレスを感じさせないことが重視されます。ただ、ウェブやメールでは、その場ですぐ情報が手に入るため、「いますぐに使えないと、今すぐに情報が見られないとイライラする」感覚が、もっとも大きな機器といえるでしょう。

結局問題となるのは、コストをどこにかけるか、ということ。ゲーム機は消費電力や開発コストよりも「ゲームとしての速度感」を重視するため、家電転用すると「とにかく速い家電」ができあがります。しかし、純粋に家電として見た場合、動作音や消費電力の問題が出やすく、家電系エンジニアの目から見ると「論外」に感じることも少なくないようです。
お里がIT系のライターとしては、どうしても「その場でOK」「速度は正義」になりやすいので、家電系の速度感より、ゲーム機の速度感が好ましく感じてしまうのですが。

ゲーム機と速度感で、ちょっと面白い話を思い出しました。
あるゲーム開発者の方を取材している時の話です。

「光って、遅すぎない? 1秒に地球を7周半『しか』しないんだよ? 1フレ(60分の1秒)じゃ5000kmしか届かないじゃないですか」

光を遅いと言い放つ人の名は中裕司。ご存じソニックの生みの親です。

といっても、これはネットワークゲーム開発に関する話題で、広い地域でリアルタイム性の高いゲームを開発する難しさを表すコメントとして出てきた言葉であり、技術的に見れば実に当たり前の話をしているのに過ぎないのですが、ゲームにおいて「スピード」の代名詞でもあったソニックの生みの親から出てきたので、思わず笑ってしまったのを思い出します。
ああ、やっぱりこの人はスピード感が違うのかな、と……。

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2006.09.14

Wii ChannelとPS3

更新間隔が開いてしまい、申し訳ありません。
来年に向けて色々な仕込みをやっている最中で、あまり時間がとれないもので・・・。
(その内容などについては、後日、話せるようになったときに)

本日、Wiiの価格/発売日と、その詳細が発表になりました。(詳しくは公式サイトにて)

一番の驚きは、あれだけ「ゲーム」を前面に押し出していた任天堂が、Wiiの中に情報端末的要素を多分に盛り込んできたことです。
Wii Channel、と呼ばれるこの機能では、ウェブ閲覧・デジカメ画像加工などのほか、ニュースなどの情報を表示することができるようになっています。
これはどちらかといえば、これまでSCEが目指してきた方向性と同じ、といってもいいでしょう。
(PS3でもそれは同じです。すでに手元にある製品でいえば、PSPやPSXに、一部そういった機能が盛り込まれていますから、Wii Channelの画像と比較してみるとおもしろいかもしれません)

ゲーム機もコンピュータである以上、こういった機能を盛り込むという発想は珍しいものではありません。任天堂は何度もチャレンジを繰り返した道ですし、「ゲーム機の情報端末転用」についてはベテラン、ともいえます。実際、「英語漬け」「DSお料理ナビ」といった、ニンテンドーDSでのソフトウエア展開を考えれば、「ああなるほどね」という話ではあるのですが。

考えてみれば、2年前のE3で岩田社長がWii(というか、当時の計画名であるRevolution)について触れたとき、こんなコメントがあったのを思い出します。
「パートナーであるIBMおよびATIとは、ゲームにとどまらず、様々な話し合いをしている」

これをもって、「任天堂もゲーム以外に次世代機を応用するアイデアを持っている」と記事に書いた記憶はありますが、まさかここまでしっかり用意してくるとは思っていませんでした。
(正直いって、会見で内容を聞くまでコメントの話を忘れていたくらいです)

ではここで問題。PS3とWii Channelはどこが違うのでしょうか?
PS3の方がAV志向で、Wii Channelの方が生活志向……というような感触はありますが、それは本質ではありません。

一番の違いは、開発側の立脚点、といっていいでしょう。

何度か書いてきた記憶がありますが、SCEがPS3のネット戦略で究極の目標とするのは「ウェブからの脱却」です。
「文字と絵だけがインターネットだなんで間違っている」という発想から、「高度な演算能力がある端末が前提となったまったく新しいサービス」の可能性を生み出すもの。
これが、SCEコアメンバーの考えるPS3でのネットワーク。携帯電話とPCでは、同じインターネットにアクセスしていても、使われるサービスや利用形態が違うように、「テレビからインターネットにアクセスするとはどういうことか」を考えた、別の利用形態を作ろう、というのが狙いです。
ただ、その道程があまりに長すぎ、PS2・PSPでは中途半端なものしか提供できませんでした。PS3でどこからスタートするかは、まだはっきりとしませんが、おそらく理想からはかなり遠い、現実的な線からのスタートとなるでしょう。

それに対しWii Channelが狙うのは、「いまある便利なものを、さらに気楽に、多くの人に届けるにはどうしたらいいか」ということ。画面やデモを見る限り、Wii Channelは特殊なサービス、とはいえません。(まあ、操作体系はともかくとして、ですが)おそらく、Wii Channelを使いたいからWiiを買う、という人もいないでしょう。
それをわかった上で任天堂開発陣は、「あって良かった、使ってみるとけっこう便利」という線を狙ってWii Channelを開発したものと思われます。それだけWiiの利用時間が長くなり、プラットフォームとしての優位性が高まるからです。
お目当てでない機能もつかってもらうには操作性や「おもしろさ」が重要。だから任天堂は、そうした部分にこまやかな神経を使うわけです。

あるゲーム業界人と話している時、彼はこのような評を口にしました。
「任天堂は思考の、SCEはロマンの会社」
発売しているソフトなどから受ける印象は逆ですが、技術志向からいえば、この意見にはまったく同意します。

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2006.06.03

E3・WinHECが終わって

怒濤の5月も過ぎ、海外出張の宿題(汗)も終わり、そろそろ落ち着いてきました。
商業誌向けの記事も露出しきったところなので、書ききれなかった情報などをお伝えしていきたいと思います。

まず最初に、「ポータブルXbox」について。
すでにAV Watchの原稿でも触れましたが、WinHECにて発表はありませんでした。そもそも、短期的に見た場合、ゲーム機としての存在および発表には疑問を差し挟んできたわけですが、まさにその通りだったわけで。
予想と違ったのは、「AV機器」としての発表もなかったこと。冷静に考えると、AV機器として展開する場合、基本的にソフトメーカーであるマイクロソフトが、リスクを負ってまでCPUを購入してハード生産に乗り出す必要はないため、トランスメタと協業する意味もないわけですから、今回の情報とは符合しません。
というわけで私の結論は、「仮に計画があるとしても、少なくとも来年まで、ポータブルXboxが正式発表されることはない」というものです。

今回のトランスメタとのアライアンスは、あくまで、低所得国向けのプリペイドPC「FlexGO」用のプラットフォーム、ということのようです。(ただし、そういった用途にLongRun2が必須とは考えづらいこともあり、すべての疑問が解けたわけでもないのですが……)

次に、PS3について。
5月24日発売のウルトラONE誌(また休刊最終号。。。)にて記事を書きましたが、その中で、PS3における「互換」に関し触れました。この点に関し、きちんと言及した記事はほとんどないようですから、もうすこし詳しく解説しておきましょう。

PS3には、PS2のEE+GSが、ほぼそのまま搭載されます。これは、PS2のタイトルを正常に動かすためのものです。PS2に、PS1のコアチップがI/Oプロセッサとして組み込まれていたことを思わせる内容ですが、PS3のそれはちょっと違います。なにしろ、「PS2互換」以外の機能は持ち合わせていないようなのです。
元々SCEでは、PS2互換をソフトで実現させる予定だったようです。ですが、エミュレータの開発が難航し、100%に近い互換性を実現するには時間が足りない、と判断されました。
そこで出てきたのが、EE+GSをそのまま搭載する、という構造です。コスト的にはとても厳しく、PS3の価格上昇の一因になっていることは間違いありませんが、SCEとしては、「100%に近い互換は必須」であるため、こうせざるを得なかったわけです。今後、ソフトエミュレータの開発にめどが付き次第、PS3の設計は変更され、EE+GSを取り外して低コスト化する予定だといいます。

そして実は、「PS3」用タイトル自身にも、「互換」に関しては秘密があります。
PS3のハードディスクは、ゲームのロード高速化やネットコンテンツのダウンロードに使われる、とされています。ですが、用途はそれだけではありません。ゲームタイトルの「アップデート」にも使われます。不具合修正はもちろん、機能やコンテンツの追加も行われます。この辺は、Xbox360でも変わりません。
違うのは、「様々なPS3に対応するパッチもダウンロードする」ということです。
様々な報道で、「PS3には様々な構成のものが存在する」ということはすでにご存じのことと思います。また、今後PS2のように、小型化・低価格化のためにチップ構成は変更されていくことでしょう。となると、ハードの構造は、発売時のものに比べ変化していくのは間違いありません。
となると、ソフトによっては挙動が違ったり、動かなかったりする可能性があります。PS2でも、初代機と現行の薄型では、100%の互換性が保たれているわけではないのですから。
そこで登場するのがハードディスク。ゲームを読み込んだ時に、本体のバージョンとソフトのバージョンを比較し、不具合などがある場合、パッチをダウンロード、正常な動作を保つわけです。
PS1・PS2と、シュリンクに伴う互換性維持に悩まされてきたSCEとしては、ここら辺で根本的な解決を図っておきたい、というところでしょう。

これらの事実が示すのは、SCEが「PSタイトル」を動かすプラットフォームを、すこしづつ仮想化しようとしている、ということです。厳格なハードウエアに1対1対応するのではなく、ある程度ゆるやかなハードウエア規定の中で動く「プラットフォーム」として規定しよう、という流れといえます。1種類のハードウエアではなく、複数のハードウエアにより「PSプラットフォーム群」を作り、より広く家庭の中に入っていこう、という計画を実現するには、必須の方策といえるでしょう。

ただ問題なのは、そうなることにより「わかりにくさ」が増大していくことです。「ソフトを入れれば即ゲーム」が、ゲーム機の良さでもありました。それが、よりシステム的になることで、「簡単さ」というメリットを失って行く可能性があるのです。(ニンテンドーDSとPSP、どちらが複雑な操作を必要とする製品か、を考えれば、イメージしていただきやすいのではないでしょうか)
この点については、SCE内部からも憂慮する声を聞いています。どれだけ、「ネットにつながっていても、シンプルに使える」という形を実現できるかは、SCE開発陣のお手並み拝見、というところです。
逆に言えば、この辺をきちんと解決できない限り、PS3は「コンピュータ」として成功しえないでしょう。

複雑なネット機器なんて、パソコンとケータイでもう十分。同じものを作っても、ニーズはないのですから。

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2006.05.19

ポータブルXboxは存在するのか

PC Watchに、「復活したEfficeonはXboxポータブルに搭載か」という記事が掲載されました。
非常に興味深い記事です。

ポータブルXboxの存在については、噂が何度も出たり消えたりしています。どうやら、「存在するらしい」ことは間違いないようです。

ただ、個人的な意見をいえば、「それが本当にゲーム機なのか」は怪しい、と考えています。

第一に、お披露目がGDCやE3でなく、来週からのWinHECになると思われる点。
ゲーム機ならばこれらのイベントで公開した方が、マーケティング的な効果が高いはずで、わざわざWinHECにする理由が思いつきません。

第二に、マイクロソフトの人物からのコメント。
E3でピーター・ムーア氏に会ったとき、直に「ポータブル機を作るつもりはあるのか」と聞きました。すると、以下のような答えが返ってきたのです。
「噂は知っている。でも、ナンセンスではないかな? 世の中には数億台の携帯電話がある。それらに向けて提供すればいいじゃないか。そちらの方が興味深い。ハードを作る意味があるとは思えない」

エクゼクティブというのは、時にプレスを煙に巻くのが仕事でもありますから、「ムーアが言ったからそんなものないのだ」と言うつもりはありません。

しかし、マイクロソフトの方針として、「モバイルの中心は携帯電話+ソフト」と考えているのは、間違いないところなのではないでしょうか。

とすれば、「ポータブルXbox」と言われているものはなんなのか?

私の予想では、それは「プログラマビリティを持ったメディアプレーヤー」ではないか、と思っています。
現在のiPodやポータブル・メディアセンターに、「アプリケーション実行環境」をくっつけた製品ではないでしょうか。
要は、PSPをx86アーキテクチャ&ハードディスクベースにしたもの、ということです。
「じゃあゲーム機じゃん」と思われそうですが、専用アプリ(すなわちゲーム)への依存度がより低く、メディアプレーヤー寄り、なのではないかと。

という風に考えていくと、SCEとマイクロソフトの考えていることは、驚くほど似ていることがわかります。
それは、どちらも「パソコンがすでにある時代の、別のパーソナル・コンピューティングデバイスとはなにか」を考えているからでしょう。その上で、収斂進化とパクり、、もとい「インスパイア」しあって、今のような戦略につながっているのです。

WinHECの取材で何が出てくるか、さらに楽しみになってきました。

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2006.05.16

E3取材から帰国

というわけで、E3取材から帰国しました。

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帰国後も、E3関連記事の執筆に追われています。
すでにAV Watchでの連載は掲載済みですが、このほか、月刊宝島(25日発売)・ウルトラONE(24日発売)に、E3レポートを掲載予定です。AV Watchでも書いていない話も入っておりますので、よろしければご購入ください。

大きなネタは記事に残しておかねばいけないのでここでは書けませんので、とりあえず感想的なものをお伝えしておきましょう。


今回のE3を一言で表すなら「技術に魔法はないが、アイデアと努力は魔法を産む」というところです。

話題のWiiコントローラーは、秘密が明かされてみると、特別な技術を使ったものではありませんでした。画面のポインティング精度、モーションセンサーともに、すでにあるものと大差ありません。実際のところ、「技術デモ」として展示されていたものでは、敏感すぎたり鈍すぎたりで、今ひとつ使いづらい印象を持ちました。

ところがです。「ゲーム」として発売が予定されているタイトル、例えば「Wii Sports」や「マリオギャラクシー」、そして「ゼルダ」では、なんともいい具合にチューニングされ、快適で楽しい操作性が実現されています。まさに「任天堂の魔法」といった印象です。

Wiiはよく「画期的なゲーム機」と言われます。でも、それは正確ではありません。
やっていることそのものは、これまでのガンコントローラやXavixと大差ないのです。
でも、出てくるものは全く違う。うまく組み合わせた上で、ソフトを作る側がきちんとしたチューニングを行うことで、受け取る側には「画期的」と思える製品が提示できる。

そういう意味では、任天堂はとてもアップルに似ているな、と思います。
一度は他社が手がけ、本当の魅力を引き出せなかった技術に着目し、磨き込むことで、他社にはない魅力的な製品を生み出すのですから。なにより、「持っている人、やっている人が楽しそうに見える」演出は、すばらしいと思います。

逆に言えば、Wiiコントローラーの魅力を引き出すチューニングは、まだ任天堂の手にしかないようです。サードパーティ製のソフトでは、どうも今ひとつ気持ちよさが演出できていない。(「ドラゴンボール」で、コントローラーを、引いて押し出すとかめはめ波、なんてUIはおもしろいんですけどね)
魔法は簡単に他人には伝えられない、ということなのでしょう。

PS3の新コントローラのモーションセンサーが「おもしろそうに見えない」のは、同じような理由によるのです。

さて、Wiiに並んで話題だったのは、PS3の価格。
やはり「高い」という声が圧倒的ではあったのですが、「だから売れない」という流通関係者が少なかったのも、また事実です。むしろ、「PS2がまだ売れているから、ゆっくり切り換えていけばいい」「2年サイクルで、PS2>Xbox360>PS3みたいなトレンドになるとおもしろい」という声が聞かれたのです。
おそらくは、欧米市場において、PS1>PS2時のPS1に比べ、PS2が元気である、ということがあるのでしょう。
「売るものはあるから、じっくりでいい」というところでしょうか。

まあ問題は、その「じっくり作戦」を許容できるか、というところなんですが。

8日の会見後、SCE関係者に、ずいぶん「価格」について聞かれました。「高いと認識されている」ことは、当然彼らにとっても気になる事実なのです。そこで、いくつか今後の話も聞いているのですが、それをお話できるのは、もうすこし先になりそうです。ご容赦を。

一点だけ気になるのは、「PS3が狙うのはコンピュータ」というあたりです。どうも、誤解が広がっているようで。

これはなにも、「ポストPC」を狙う、ということではありません。
以前から、久夛良木健社長は、私にこう語っています。
「別にPCにするつもりなんてない。道具としてのPCはすばらしい。だから、PC的に使うならPCでいいんだ。PC的なソフトをプレイステーション向けに作りたい、ということを止めはしないが、僕らはやらない」
だから、Linuxが載るからといって、通常のデスクトップ・ディストリビューションが組み込まれてPCの代わりに使える……なんてことはまずないのです。(そういうこともできるでしょうが、少なくとも、メインの機能にはならない。そんなものが組み込まれても、別に欲しくないでしょう?)

ただ、「PCでないパーソナル・コンピューティングデバイス」を狙う可能性は大いにあります。
いわゆる「パソコン」と、個人に楽しみを与えたり、力をエンハンスしたりするための「パーソナル・コンピューティングデバイス」とは、明確に区別されるべきです。
例えば、ケータイは「パーソナル・コンピューティングデバイス」であっても、PCではない。PDAや、DVDレコーダーも同様です。

マイクロソフト自身も、同じ問題にとらわれています。個人をもっと便利に、楽しくするためにコンピュータを与えたい、とは思うものの、そのデバイスは「PC」だけではない。だから、今までのPCに様々な要素を追加した「新コンピューティングデバイス」、たとえばタブレットPCなど、を提示しています。

我々も、「PC」という言葉にとらわれず、出てくるものを想像する柔軟さを持つことが必要です。

だからといって、出てくるものをすべて許容する必要などどこにもありません。
SCEは、PS3が「エンターテインメントコンピュータ」として画期的である秘密を、まだ隠しています。隠れているものに消費者に「欲しい!」と思わせる説得力があるのかどうかが、気になるところです。


では最後に、会場で私が気になったソフトを。

PS3用として一番興味深いのは、カードを使ったゲームである「The Eye of Judgment」。どうやって商品までもっていくのかわからないところも含め、興味深いところです。

あまり話題になっていませんが、コナミのFPS「CODED ARMS ASSAULT」も、気になったタイトルの一つです。プレイアブルでもなく、画質的にももう一歩、と思わなくもなかったのですが、そのビジュアルセンスを評価したいところです。(FPSというと血みどろでリアル、というところから離れたセンスが、単に好みだ、ということでもあるのですが)

画質はともかく、動きについては、「Motor Storm」もなかなかでした。さすがに、昨年のE3で公開されたムービーそのまま、とはいかなかったようですが。

画質面で評価するなら、UBI Softの「Assassin's Creed」がダントツ。ゲーム性も含め、どう仕上げてくるかが気になります。

開発状況について、SCE・川西本部長は、「シェーダーの使いこなしについては、少々地域差が出ているような気もする。SPEは、フィジクスに使われるのがほとんどのようだ」と語っています。
確かに、PS2的な開発から抜け出せない日本メーカーがあったのも目立ち、日本メーカーの奮起に期待したいところです。

Wii用としては「Wario Ware: Smooth Move」(メイド・イン・ワリオのWii版)のバカバカしさ(ほめ言葉)を、360用としてはATARIのMMOカーレース「TESTDRIVE UNLIMITED」のダントツの画質を「注目作」として挙げておきます。
どちらも、ソフトとしての「作り込み」から生まれる驚き、という感じでしょうか。

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2006.03.16

PS3は11月に

というわけで、15日・15時より会見があり、SCEより、プレイステーション3の発売時期が、11月上旬・全世界同時となることが公開されました。

日本国内での延期は、多くの業界関係者が予測していたことであり、それほど意外なことでもありません。ただ、日米同時だろう、と考えていたところが、ヨーロッパまで含めた同時発売であったのは予想外でしたが。
いくつかのメディアにもコメントを求められたのですが、これによるソニーの業績への短期的な影響は、ほとんどないでしょう。(期の前後によるデコボコはあるにせよ、です)
むしろ、任天堂のRevolution(仮名)と発売時期がかぶること、米国ではXbox360用のキラーソフト「Halo 3」とやはり時期がかぶることなどから、プラットフォーム競争面での戦略の難易度が上がったあたりをどう評価するか、という問題が出てきました。まあこの辺は、E3あたりでタイトルや各陣営のなどの状況が見えてこないと、なんともいえない点ではあります。

久夛良木社長は会見にて、延期の理由を「BDおよびHDMIの規格策定が遅れたため」と語っています。
これは確かにその通り。1月のCESで話した時にも、「やっと規格が決まり、発売できる」と、本当にうれしそうに語っていたほどです。PS3発売時期の確定に関し、きわめて深刻な問題となっていたことはウソではないでしょう。

ただ、それがすべての原因ではないことも、また事実です。
多くの人が指摘するように、様々な部分で開発が難航し、「できれば春より遅い方が良かった」というのが開発陣の本音、というところでしょう。
会見後、SCE・CTOの茶谷公之CTOと少し話した時にも、私の「遅れたことで、色々改善出来たのでは?」という問いに、決して直接「イエス」とは答えなかったものの、「ゲーム機は、一度出したら途中で変えられない。だから、やるからには最初から完全なものを出したかった」と答えています。規格策定の難航で生まれた時間を、完成度向上に生かしたいと考えているのは間違いありません。

では、具体的にどこの完成度を上げるのか?

一つはネットワークサービスです。
アサヒパソコン・最終号のインタビューでも既報ですが、本日正式に、SCEがPS3とPSP向けのネットワークサービスを、PS3のランチ時期に向けて用意することが発表されました。基本的な機能はXbox Liveに似たものになるでしょうが、よりインターネットの標準に近い構造を持つようです。この点は、SCE・ソフトウエアプラットフォーム開発本部の川西泉本部長にインタビューした時にも、「オープンな環境を目指したい」とのコメントがありました。Xbox Liveは、セキュリティ重視の観点から、Xboxのみが入れるクローズド・ネットワークに近い構造になっています。PS向けネットワークも、ある程度そのような要素を持つでしょうが、PCのネットワークにも容易に接続可能な構造を持つと思われます。(開発難易度の点を考えても、その方が有利です。)
このネットワークサービスの準備は、川西本部長のコメントやいくつかのゲームメーカー筋の情報を総合すると、まだ緒に就いたばかり、のようです。トラブルの洗い出しが複雑なものであるだけに、サービスまでの時間はできるだけ欲しい、というのが本音でしょう。会見でも、執拗なまでにテストする、という姿勢が伺える開発スケジュールが公開されていました。

もう一つがホームサーバー機能。
会見中で久夛良木社長は、「BDの、発売される時点での最新の機能をすべて盛り込む」と明言しています。また、今回の会見でも、PS3にハードディスクが必要とされる理由、組み込まれる機能の一つとして「Home Server」の文字があります。昨年E3で久夛良木社長と話した時にも、「CELLの力でホームサーバーを実現したい」との話が出ました。では、どんな機能が入るのか? 正直はっきりしません。
しかし、BDに絡むある機能に注目するだけでも、その価値は予想できます。
それは「マネージド・コピー」。詳細は以前の記事をごらんいただきたいのですが、BDから映像をハードディスクにコピーし、映像ライブラリを作成できます。これまでマネージド・コピーは、パソコンやビデオレコーダーで使われる機能、と言われてきました。大容量のハードディスクを標準搭載しており、サーバーになりやすいためです。ですが、PS3にハードディスクが搭載されるとなると、マネージド・コピーの対象としては理想的です。
問題は、現在公開されている、搭載予定のハードディスク容量が60GBと小さいこと。映像を蓄積するには不足です。ただ、「普通の2.5インチ・シリアルATAのハードディスクなので、PCに詳しい人なら自分で交換できる」(久夛良木社長)というくらいなので、増設は容易なのだろう、と予想できます。

最後の一つが「ゲームタイトル」。
日本国内でのXbox360のランチという、反面教師があるわけで、いうまでもないでしょう。時間はいくらあっても足りません。


なお、最後にPSPに関しひとつだけ。
PSPでRSS Channel(Podcasting)のサポートが公開されましたが、その映像中に、PC上で利用するものと思われる、PSP連携ソフトの映像がありました。特に言及はありませんでしたが、あれは現在米国で出荷されている「PSP Media Manager」のものです。これまでは、「日本での提供予定はなく、PSPの標準ツールというわけでもない」(SCE広報)という話でしたが、おそらく今後位置づけが変更され、iPodにおけるiTunes的な役割を担うソフトになっていくのでしょう。春、と公開されている次のPSPのアップデートの時に、その辺の情報が公開されるのではないでしょうか。

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2005.12.13

Xbox 360から見える「次世代ゲーム機の構造」

自宅にXbox 360が届きました。
やっぱり電源が大きいとか、思ったより動作音が気になるとかはともかく、次世代らしい様々な特徴を備えたゲーム機であるのは間違いありません。

ただ1点、みなさまに謝らねばならないこともあります。
これまで、取材を通し「Xbox 360はDLNAクライアントになる」と伝えてきたのですが、製品版では、残念ながらそのように動作しませんでした。DLNA規格に準拠したウィンドウズXP用サーバーソフト「Windows Media Connect」(WMC)しか認識しなかったためです。主にウィンドウズPCがサーバーとして使われる現在、運用上大きな差はないのですが、家電機器との接続ができないのはやはり残念です。

そもそも、WMCはDLNA規格を、割と素直に反映したサーバーです。これがつながるなら、特別なことをしていない限り、同一仕様である各種DLNAサーバーはつながるはずなのです。(実際にすべてのAVファイルが再生できるかは、ともかくとしてですが)
マイクロソフト側も取材時には、「動作保証はWMCしかしないが、つながる可能性は高い」とコメントしていました。
それがつながらないのは、どうも「WMCしか認識しないように手を加えた」可能性が否定できません。
動作保証のためなのか、その他の理由かはわかりませんが。
(そもそもMSとしては「WMCしか保証していないので、他の機器のことはコメントできない」と答えるのでしょうが)

できれば早期にXbox 360のファームウエアを改訂して、DLNAサーバーに接続できるようにしてほしいところです。クライアントにとっては、接続先を限定するのはあまりよい策ではありません。


ネットワーク絡みでは、おもしろい構造にも気がつきました。

Xbox 360には、ゲーム中に再生されるBGMを、ユーザーが好きな音楽に切り替えられる機能があります。ゲームの下で動いているXbox 360のOSコアに含まれる機能であり、どのゲームでも基本的に利用可能です。

ここでおもしろいのが、音楽の「在処」がどこかは問わない、ということです。通常ならば、再生可能なのはXbox 360のハードディスク内にある音楽のみが対象になりそうなもの。ですがXbox 360では、USBで接続された音楽プレイヤー(iPodなど)やマスストレージ、それにWMCで接続された、LAN上のパソコンにある音楽すら再生対象となります。
これは、Xbox 360のOSコアの機能が「ファイルの所在」を仮想化し、ローカルのストレージとネットワークを透過的に扱っているからです。ホームネットワークを家電の中に組み込む仕組みとしては、なかなかおもしろい機能といえます。(逆に、パソコン的な発想に立つと、こういう実装が行われることは理にかなっており、必然ともいえるのですが)

ただその一方、常時WMCとの接続を監視するためか、Xbox Liveを使ってネットワークゲームを行っている際に、処理落ちが発生する原因ともなっているようです。特に「リッジレーサー6」のように、処理遅延に対する許容度が低いゲームでは、影響が顕著なようで。
この辺は、より効率的に各プロトコルを処理するコードを作る必要があるのでしょう。(ファームウエア改訂などで改善されるまでは、プレイ前にWMCとの接続を切るなどの処理が必要ですね)


このような特質は、ゲーム機が持つ新たな構造がもたらすものです。
それは、比較的リッチなOSコアが常時動作し、ゲームがその上の1アプリケーションとなる、ということです。
従来ゲーム機では、ハードの全処理能力をゲームが占有していました。この場合OSは、起動やディスク制御といったローレベルなコントロールに使われる「基盤」の役割のみを果たしています。

しかしこれからのゲーム機では、通信処理の重要度が増し、ゲーム以外の機能も増えてきた結果、OSコアに様々な機能が追加されています。ある意味、パソコンのOSとアプリケーションの関係に近づいているのです。

こういう話をすると、昔ながらのゲームファンはあまりいい気がしないでしょう。ゲーム機の全力を絞りだした、「ハードの限界を超えた」ソフトにロマンを感じるのも事実。ゲームには直接関係ないコードでメモリーやCPUパワーを食われるのはナンセンス……という印象もあるからです。

しかし、時代は変わりました。OSに処理能力を渡してでも、実現すべきことはたくさんあります。
ネットワーク機能はその最たるもの。ゲーム中に、友人から別のゲームへの誘いがくる、というXbox Liveの姿は、まさにリッチなOSでしか実現できないことです。

それに、こんなちょっとしたことも、リッチなOSがあって初めて可能になります。
たとえば、コントローラーから電源を切ること。
Xbox 360では、コントローラーからゲームを終了して電源を切るまでの、一連の動作が行えます。ネットワークに接続された機械ですから、昔のゲーム機のようにいきなり電源を切るのは避けたいもの。一連の「シャットダウン手続き」に従って電源を切るのが理想です。それをスムーズに実現するには、OSコアに「シャットダウン機能」を持たせるのが最良の手段。ワイヤレスコントローラーで、座ったまま電源を切れるというのは、思ったより便利です。

さらに、今後はこんな機能も「夢想」できます。
Xbox 360と同じように、リッチなOSコアを備えたゲーム機にPSPがあります。PSPは、OSコアが高度な省電力コントロールを実現し、ゲームの「一時中断」を可能としました。いつでもゲームを休み、いつでも再開できることは、ストレス軽減に大きな効果を発揮します。
同じようなことが、将来のXbox 360や、PS3でできても不思議ではありません。
また、内蔵ハードディスクやメモリーカードに「現在のRAMの状況」をすべて書き出せば、ノートパソコンでいう「休止状態」も実現できます。これをうまく使うと、「一度プレイしたゲームを次にするときは、『休止状態』から復活するので、ロードなしで再開できる」という環境だって実現できるかもしれません。

まあ、あくまで「予想」ですが。
SCEは、PS3に間違いなく「ゲーム以外」の機能をたくさん実装してきます。それらを自由に使わせるには、やはりPSPを遙かに超える「リッチなOSコア」を持つことが必要なのです。

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2005.09.18

ゲームショウ終了

TGSが終わりました。
今年は、近年では最大の盛り上がりだったのではないでしょうか? とにかく、一般日の来場者が多い!
次世代機への期待もあるのでしょうが、むしろネットワークゲームの定着により、ファン層が深化・重層化したことが大きかったのではないでしょうか。

話題といえば、やっぱり任天堂のレボリューション(仮称)のコントローラ公開です。初日の基調講演は、マイクロソフトのチーフ・Xboxオフィサーであるロビー・バック氏と、任天堂・岩田氏によるものだったわけですが、前者は完全に食われた印象です。
コントローラが公開されたとはいえ、レボリューションの正体はまだ不明です。裏付けの薄い情報ですので公開はできませんが、演算能力の面でも、他のゲーム機とは違う「しかけ」があるらしい……との話もあります。
どちらにしても、レボリューションは「画質」でなく、「動き」で差別化を図る方向性であるのは間違いないようです。

とはいえ、任天堂が言うほど「画質路線」が陳腐化しているわけではないのも事実。
コナミが公開したメタルギア・ソリッド4の映像を見ると、「次世代機で画質が上がる」という言葉から想像したものと、実際に出てくる映像の差が体感できます。仮に、レボリューションが他と違うゲーム機になるとしても、レボリューションのみが売れるということはなく、「メイン」であるPS3もしくはXbox360と、レボリューションの組み合わせで市場が成立することになるのではないでしょうか。

なお、MGS4の映像は、以前の記事でも触れたPS3開発機材「Evaluation System」で動作していました。CELLとRSXを結ぶ帯域がまだ狭いため、想定するすべてのコードが動作しているわけではないようですが、それでもクオリティは驚くべきものです。(ちなみに解像度は720Pとのこと)
とはいえ、その技術の多くは、目新しいものではありません。映画やCM、ゲームのオープニングといった、プリレンダ・ムービーで使われているノウハウが目立ちます。注目すべきなのは、デザインチームのノウハウをきちんと反映できるだけの能力を持ったリアルタイム・グラフィックエンジンをこの時点で完成させていることです。小島組のエンジンを外販すれば、Unreal Engine3を超えるニーズが生まれると思うのですが……。

Xbox360については、TGS開催前日に価格と発売日が発表されたこともあり、俄然「発売直前」感が強まってきました。
意外だったのは、やはりハードディスクなしの「Core System」が、当初日本では販売されないことでしょう。この点を、同社のピーター・ムーア氏に聞いたところ、「日本ではMMO RPGのニーズがとにかく大きい。MMOにハードディスクは必須。とすれば、日本ではハードディスク必須と考えた」と答えました。それだけ、ファイナル・ファンタジーXIの集客力に期待しているということでしょう。

ただ一方、低価格なCore Systemの投入についても「否定しない。時期は未定だが」と強調します。

これは私の予想ですが、マイクロソフトは日本で、PS3ランチにあわせCore Systemを投入するつもりなのではないでしょうか。本体を値下げするのは難しい時期ですが、1万円安いCore Systemを投入することで、見かけ上同様の効果が得られます。それに、日本でランチに合わせてハードを買う層のニーズを考えれば、確かにハードディスクなしのモデルは人気がないだろう……とも思います。

ライチタイトルについては、正直まだ弱いと思います。
しかし、PC周辺機器として見た場合の可能性は、かなり高いものがあります。
PCやデジカメと連携し、ハイビジョンテレビでAVデータを再生する端末としては、現在もっともクオリティが高く、操作性も機能も充実しています。これが4万円で買えるなら、ゲームをしない人にも魅力なのではないでしょうか。

特におすすめはデジカメとの連携です。
最近、パソコンが得意でない熟年層にも、一眼レフを中心としたデジカメのニーズが広がっています。しかしこれまで、画像の保存にはパソコンが必須でした。Xbox360ならば、画像を蓄積する「アルバム」として使えます。操作もパソコンよりはずっと簡単です。
唯一の弱点は、内蔵ハードディスクが20GBしかないこと。本気でデジカメデータを蓄積していくと、すぐいっぱいになります。しかし、USBのマス・ストレージデバイスになるのものならなんでも接続できるとのことなので、PC用の外付けハードディスクをつなぎ、それを大容量フォトストレージ代わりにすることもできるでしょう。

ゲームというビジネスモデルが生み出す「副産物」として、この低価格・高性能AV端末を楽しむのもアリではないでしょうか。

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2005.08.19

Xbox360価格確定

一日タイミングを逸しましたが。
Xbox360の価格が確定しました。
ハードディスクを別売とした「Core System」(300ドル)と、当初の発表通りのスペックを備えた「Xbox360」(400ドル)の二本立てです。
元々、Xbox360のターゲット価格は300ドル、と言われていたのですが、2ヶ月くらい前から、「300ドル実現のためにHDのないバージョンを用意する」との噂が流れていました。それは本当だったわけです。

ただし、これはマイクロソフトにとってかなり苦渋の決断です。
Xboxとの互換性維持、オンラインサービス・XboxLiveの新機能実現には、元々ハードディスクが必要な設計です。そのため、Core Systemだけでは「Xbox360の特徴」としてアピールされてきたこれらの機能が利用できません。

よく、「家庭用ゲーム機はハードを赤字で売り、ソフトで補填するビジネス」と言われます。
ですが、これは間違いです。
現在成功しているハードで成立しているモデルは、「初期に赤字でハードを売るものの、できる限り早期にハードで黒字を実現し、ハード普及期(すなわちソフト的にも収穫期)には、ハードからも十分な利益を得る」という形。PS2はまさにこのモデルの申し子です。

マイクロソフトは、初代Xboxでこのモデルを築けませんでした。そのため、Xbox360では、できる限りPS2のモデルをトレースすることを意識しています。

しかし、マイクロソフトとSCEの間には、大きな違いが1点あります。
マイクロソフトは半導体工場を持っていないため、同じコストの製品を作った場合でも、利益率が低くなるのです。(その分、自社内資産をスリムに保ち、初期投資が少なく済むというメリットがあるわけですが)

ハードディスクは半導体と違い、量産時のコスト低減が大きくありません。(というか、半導体の量産によるコスト低減効果が異常なのです)
ハードディスク搭載に伴う生産コスト上昇分のリスクが、当初の想定よりも厳しかったのでしょう。特に今回、Xbox360はスタートから大量生産を行って垂直立ち上げを狙いますから、コスト上昇リスクが特に厳しかったと思われます。

とはいえ、特に日本国内では、値段が安い方がありがたいのではないでしょうか。Xboxが普及しなかっただけに、互換性やオンラインサービスを重視しない人が多そうですから……。

なお、ライバル・PS3の価格はまだわかりません。
ちまたでは、「ゲーム機とは思えないほど高いのでは」という声もありますが、おそらくそうではないでしょう。マイクロソフトが300ドルにこだわったのは、PS3の価格を意識したためと考えられるためです。
PS3が高価になるとされる根拠として、7月末のPS Meetingにて、久夛良木健社長が「PS3は『高いぞとは言っておく』と言った」とされるのですが……。

これ、その場にいた私には、別の台詞に聞こえたんですが。
半ば笑いながら、「いまのところは、『高いぞ』といっておき”たい“」と。

値段はまだいえない。本当はある値段が決まっているけど、本音は高く売りたくてしょうがない。安いと思われると色々困るから、「お願いだから、いまは『高い』ってことにしておいてよ」という冗談・・・というところなのではないでしょうか。

E3で、私は久夛良木氏の他、SCE・茶谷公之CTOにインタビューしています。両者より、価格を明示するコメントはありませんでしたが、茶谷CTOはこう言いました。
「いくらかはいえませんよ。でも、ゲーム機の常識を打ち破るようなものにはならない」

PS2の発売時の価格は、3万9800円。すなわち400ドルくらい。
Xbox360は、300ドルと400ドル。
しかもマイクロソフトは、400ドル1ラインでは戦えないと判断した。
と、いうことは・・・・。

はずれたら「ごめんなさい」ですが。

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2005.07.26

次世代ゲーム機夏の陣

E3から2ヶ月、次世代ゲーム機がらみで久々の動きがありました。
7月21日にSCEが、25日にマイクロソフト会見を開き、ここまでの進捗を発表しています。
両社の会見の内容は、性質が大きく異なっています。SCEは「次世代機とはなにか」の説明に終始し、マイクロソフトは「どんなタイトルが出るか」のアピールに終始した、といっていいでしょう。それは、両社に残されたハード発売までの時間を反映したものです。

SCEはPS3の開発環境に関し、徹底的なバックアップ策を用意してきました。
ゲーム開発ツールで大きなシェアを持つSNシステムズ社を買収、同社の技術をPS3の基本的な開発環境として利用することになった他、AGEIA社とHavok社の物理演算エンジンを開発ツールに組み込むこと、ゲームエンジン「Unreal3 Engine」を無償で評価し、安価にライセンスが得られるようにすることも発表されています。
PS2の時は開発環境が整わず、「ゲーム開発が難しく、高騰した」との印象を与えた同社ですが、PS3では開発初期より、PS2での失敗を犯さないことを目標にしてきました。その成果がそのまま出た、といっていいのでしょう。

会見の前半では、E3で公開したアヒルのデモとDr.Octopusのデモを例に、「これらのデモを実現するにはどんな技術が必要か」の説明が行われました。狙いは、「物理演算とシェーダー技術を生かすことで、従来に比べコストパフォーマンス良く、リアルな表現が行える」ことのアピールです。

会見後に、SCEの茶谷公之CTOと話したところ、こんな話をしていました。
「E3のデモは、見る人が見れば必要な技術がわかる。演算力を使うことで、リアル=高コストとはならないことが理解してもらえる。でも、必ずしも技術に明るくない、経営者やプロデュースサイドにはリアル=高コストと受け止められた。彼らにはどう投資すればいいかがわからなかったようなので、細かく説明する必要があると思った」

PS3の根本は、ゲームのリアリティを、コストを高めずに増すために「演算」を使う、という発想です。膨大な人手と職人芸を使えば、現行機でもPS3と同等のリアリティを持った映像は作れます。しかし、それでは「時間」と「人件費」という名のコストがかかりすぎます。現在のゲーム開発のコスト問題はまさにここにあります。すべてを人の手で作るのでなく、演算力の力を借りて省力化を図るわけです。

実はこの発想、PS2の時から存在したものです。SCEとしては、PS1からPS2へのステップアップは、「演算力により世界生成をすること」(SCE・久夛良木社長の当時のコメントより)だったのですから。
ところが、ゲームメーカーにはゲームを作るノウハウはあっても、効率的な物理演算やテクスチャの計算生成の技術はありません。PS2は、SCEの思うような形では使われなかったのです。

「ゲームメーカーにないノウハウは、ミドルウェアのメーカーが提供してくれる」
当時、久夛良木社長は私にそのように語りました。ですが、なかなかそうはいかなかったのが実情です。PS3では、SCEが積極的に関与することで、「演算で世界を生み出す」という理想の実現を狙うことになります。

なお、会見ではPS3の開発機材も公開されました。実機に近い性能の開発機材は12月まで提供されないことになりそうです。11月までは、「Evaluation System」と呼ばれる暫定的な開発機材が使われます。
この機材は、CPUのクロックが3.2GHzから2.4GHzに落とされている他、本来上り15GB/sec-下り20GB/secで接続されるはずのCPUとGPUの間が、PCI-ExpressX4(2GB/sec程度)に変更されており、本来の性能は出し切れません。PS3の技術的特長は、超高速のバスでCPUとGPUを接続することで、一つのデータに対し、GPU単体であたるよりも高度な演算リソースを使った映像生成が可能、ということです。バスが遅くては、そのような使い方が難しくなります。
SCE関係者によれば、その問題を解決するために、Evaluation Systemではメインメモリとビデオメモリの双方が、PS3実機の2倍である512MBとなっています。「多い分をバッファ的に使うことで、バス低速化のデメリットを補い、実機環境をエミュレートする」のだといいます。


さて、今度はマイクロソフトについて。

すでに述べたように、タイトルのアピールが主軸であり、技術的な注目点はあまりありません。SCEに対抗してか、「デモではなく、実機で動くゲーム画面そのものである」というフレーズが頻繁に使われていました。実機といっても、実際に販売されるハードではなく、E3の時よりも実機に近づいた、俗に「β2」と言われる開発機材を使ったデモであったようですが(これは、生産時期などを考えれば当然のことです)。

タイトルについては、あえて言及は避けます。
(個人的には欲しいものもありましたが、それは熱心なゲーマーの目で見たときの話。そうでない、比較的カジュアルな人を引きつけるには、「もう一声!」というところでしょう。ゲームタイトルの論評は専門ではありませんから、どこまでいっても1ゲーマーとしての意見です)

デモの中で目新しかったのは、Xbox360のゲーム以外の機能に関する言及が多かったことです。Xbox360には、デジカメ画像やMP3データの管理・再生機能や、ウィンドウズXP・メディアセンターエディション(MCE)と連携した、デジタル・ネットワーク・プレイヤーとしての機能もあります。
デモそのものは、E3でも公開されたものを改めて見せたに過ぎませんが、同社にとって「PC連携」が、ハードを売るための大きな武器と考えられていることは感じ取れました。
なお、MCE連携ばかりが脚光を浴びますが、実はXbox360は、MCEでない、通常のウィンドウズXPとも連携します。ウィンドウズXP向けに、現在無償で公開されているAVネットワーク機能「Windows Media Connect」(WMC)との接続も可能なのです。WMCは、PCおよび家電でのネットワーク相互接続規格「DLNA」に準拠しているため、おそらく、DLNA準拠のPCおよび家電とは、さほど問題なく接続できることになるでしょう。あまり知られていませんが、現在国内の店頭で売られているパソコンの7割以上には、DLNA準拠のサーバー機能が搭載されて出荷されています。すなわち、Xbox360は、日本国内のほとんどのパソコンとつながるわけです。

「パソコン内の映像・音楽を安価に楽しむ機器」としてXbox360を選ぶのは、面白い選択肢といえそうです。ただおそらくは、SCEもPS3に同様の機能を盛り込んでくるでしょうから、この点での差別化は難しいかもしれません。OSメーカーならではの強みが勝つか、家電メーカー/ゲームメーカー的なこだわりが勝つか、この辺にも注目です。
・・・逆に言えば、同様の機器を作っている周辺機器メーカーには、超強力なライバルが登場することになるわけで、心中穏やかではないでしょうが。

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2005.06.07

なぜMSはインテルからIBMに「Switch」したのか

多忙で久々の更新です。
巷は、アップルがCPUをIBM/FreescaleのPowerPCから、インテルのペンティアム系CPUに乗り換える、との噂で持ちきりです。正直その真相はわかりませんが、あと数時間後にサンノゼ開かれるアップルのWWDCの基調講演では言及があるのでしょうから、明日にはすべてが明らかになっていることでしょう。その辺にも思うところはありますが、ここで話題とする「Switch」は逆の例です。

マイクロソフトはXbox 360にて、これまでのXboxと違い、CPUにPowerPCカスタム版を採用しましいた。初代XboxのCPUは、インテルのペンティアム3・カスタム版。アップルの場合とは逆です。

CPUを変更することは、ソフトの互換性維持の面で大きなマイナスです。それだけに、Xbox 360が互換性を持ち合わせて登場することは驚きです。(さすがに100%の互換は難しいらしく、MSは「ヒットタイトルと2005年発売ソフトでできる限りの互換を実現する」という表現にとどめていますが)

互換性を捨ててでもCPUを変更せねばならなかった理由はなんでしょう? 安価にハイパワーなCPUを準備しやすかった、ということも大きな理由ですが、おそらくそれより大きかったのは「コスト」だと考えられます。PowerPCに乗り換えた方が最終的に安価になる、と、マイクロソフトは決断したのです。

SCEがPS2で成功した理由は、半導体を中心としたコアパーツを自前で調達したことにあります。半導体プロセスの改良により量産性の向上を繰り返し、しかもそれがすべて自社内で完結する結果、コストダウンがそのまま利益に直結することになりました。すなわち、早期にハードウエアから利益を得られるビジネスモデルを持っていたということなのです。

ゲーム機はハード赤字のビジネス、と言われますが、それは間違っています。初期段階こそ赤字でも、できる限り早期に黒字に移行できるビジネスモデルを持たない企業は、必ず自滅していきます。
実は、セガが陥ったのがこのミス。サターンもドリームキャストも、SCEや任天堂のハードに比べ高コストである上に、量産による生産性向上も難しい作りでした。結果、いつまで経っても出血を減らせず、体力勝負に負けていったわけです。(ちなみに任天堂は、パーツ点数の少ないシンプルなハードウエアを作り、最初から出血しない戦いをするのが信条です)

初代Xboxはかなり高コストなハードです。パーツ点数も多く、供給元も多岐にわたります。マイクロソフトはCPUを、インテルから購入していました。最終的に2000万個を超える数を購入しているわけで、それなりのディスカウントは行われていたのでしょうが、価格の決定にはインテルの意向が大きく影響せざるを得ず、PS2のEmotionEngineに比べ高価格であったと見られています。

MSは半導体工場を持っていませんから、SCEのように自分でコストを決めることはできません。(その分、工場への投資はいらないわけですが)
だからといって、中核部品に他社が生産コストを決定するパーツを使い続けるのは、ビジネス上リスクが大きい。
そこで採るのが、設計をライセンス購入し、生産をファウンダリーに委託するという方式です。大量のパーツを生産しないと元がとれない方式ですが、パーツ購入に比べ、生産量やコストのコントロールがしやすいのが特徴です。しかもXboxでは、前回だけでなく今回もGPUをファウンダリーで生産しています。同じファウンダリーに委託し、まとまった形でラインを用意させることで、製造委託コストを安く抑えさせることも可能です。
インテルは自社CPUの設計を外に出すことはしません。すなわち、ファウンダリーを使ってCPUまでコストコントロールをするなら、インテルのCPUは採用できない、ということになるのです。インテル側から見れば、マイクロソフトは容易に飲めないような低いコストを提示し、継続してビジネスをするか、別れるかを迫ったということになるのでしょう。

逆に言えば、次世代ゲーム機がすべてIBMベースのCPUとなったのも、このためともいえます。十分な設計能力を持ち、高速処理を前提としたそれなりの規模のCPU設計を提供できる企業は、現在IBMくらいしかなかった、ということでもあるのです。ただし結果として、SCE・MS・任天堂の3社が採用するCPUの中身がかなり異なるものとなったという点は、各社のポリシーが見えて面白いところではありますが。

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2005.05.23

E3と次世代機あれこれ

E3取材より帰国しました。ネタは山ほどあるのですが、プロとしては仕事として依頼されている記事で初出とせねばならないので、記事露出後にさら詳しくお伝えします。
ここでは、とりあえず記事に書くつもりのない、ちょっとした感想や話題を書いておきます。

1:インパクトで勝利したPS3

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率直に言って、「次世代機」としてのアピール力で勝利したのはPS3だった、といっていいでしょう。現地で取材にあたるプレス関係者はもちろん、開発者などにも感想を聞いてみましたが、プレゼンベースの映像でいうならば、ほぼ全員がPS3に軍配を挙げていましいた。PS3にしてもXbox360にしても「画質が良くなる」点では同じなわけですが、単にきれいになるだけでなく「より説得力のある絵になる」というインパクトを、PS3のデモは与えることができました。それに対しXbox360は、「既存の延長線上」という印象の強いデモが多かった、というのが感想です。

ただし、現時点の映像でハードの良し悪しを判断することに意味はありません。ソフトは作る側の力量に依存するもの。PS3もXbox360も良いハードであり、優秀なスタッフが作れば、同様の映像ができるのは間違いありません。
一番の違いはプレゼンの方向性です。Xbox360が「こんなゲームができる」アピールを中心としていたのに対し、PS3は「ハードの可能性を示す」ことを中心としていました。前者は業界関係者以外にもわかりやすい内容にしやいすいのですが、現時点では説得力が出しづらいのです。まだハードとソフトの開発が終わっていない現時点では、ゲームとして魅力的でありながらハードの特徴を全面に押し出したタイトルなど、そうそう用意できるわけではないのですから。
これはMSのXbox担当副社長・J.アラードも認めており、
「本当に画期的なタイトルが見せられるのはこれから。具体的なネット機能もアピールできていない。秋の東京ゲームショウまで待ってくれないか」とコメントしています。

この辺は、やはりSCEの経験が一枚上手だった、ということでしょう。

2:実機デモが少ない理由

360-G5
360-fan

発表会やE3会場では、各次世代機の姿をかなり見かけました。ですが、そのほとんどが「開発機材上の映像」であり、実機で動作していたものではありません。実際にゲームをプレイできたXbox360にしても、Xbox360のモックアップの裏にパワーマックG5を使った開発機材を置いていたのです。Xbox360に比べG5は発熱量が多い上に、会場はかなり暑かったため、扇風機が仕込まれるほどです。(向きを見ればわかりますが、この扇風機は熱風がよどまないよう、外へ逃がすためのものであり、風を当てて冷やすためのものではありません。念のため。)

SCE・マイクロソフトとも、すでに実機用CPUとGPUのサンプルはできあがっているようですが、「さすがに失敗が許されないデモの場で使う度胸はない」(SCE関係者)とのことです。

ちなみに、パワーマックG5を使ったXbox360の開発機材は、「実機に比べCPU性能で若干劣り、GPU性能では3分の1程度」(大手ゲームメーカー開発者)とのこと。現在公開されているXbox360の映像の多くはこの機材から出力されたものであり、この点でも、現在公開されている映像で性能を測るのは意味がない、ということがわかります。

3:「常時接続的」になるオンラインサービス

今回の次世代機では、どの機種でもオンラインサービスがコアな機能として位置づけられます。ゲームでオンライン、というと対戦や協力といったものが思い浮かびますが、今回はインスタントメッセージングやメールサービスといった、よりコミュニケーションよりで「常時接続的」なものになるでしょう。

例えば、Xbox向けのオンラインサービス「Xbox Live」。これまでのXbox Liveは、ユーザー同士の対戦を助ける「マッチング」的なサービスに特化していました。Xbox発売当初のニーズがほとんど「対戦」であったからです。そのため、サーバーコストが低く開発が容易ではあったものの、MMO RPGなどには向かない構造でした。MMO RPGの準備も進んでいましたが、「いきなり数万人もの同時接続ユーザーはこない、という想定だからできるもの。最適な用途とは言い難い」(マイクロソフト関係者)という程度。スクウェア・エニックスもファイナル・ファンタジーXI(FF11)の投入を準備していましたが、MSの独自ネットワーク上ではサービス展開が難しいため、計画が破棄されました。
しかしXbox360用のXbox Liveでは構造を変え、パートナー企業のネットワークとの相互接続や、各種メッセージングサービスの統合など、マッチングにこだわらない広範な型式へと変更されます。いったん消えたFF11も、Xbox360用として再度登場することになりました。

SCEも「ネットで期待される機能のほとんどは、最初から実装する」(SCE・茶谷公之CTO)としており、PS2の時とは違った形になりそうです。任天堂にしても、「パートナーであるATI・IBMとはゲームにとどまらない範囲で交渉している」(任天堂・岩田聡社長)と語っています。

通信端末としてパソコンや携帯電話を駆逐することを狙うものではないでしょうが、それらに並ぶ「家庭内の主要なコミュニケーション機器」として認知されるのは間違いないはずです。

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2005.05.14

Xbox360 第一印象

XBOX360_0513

さて、ついに発表されました。
とはいえ、デザインと大まかなスペックがわかっただけで、サービスの詳細やハードの使い勝手・おもしろさにつながる情報は未公開。なにを質問しても「それは来週をお待ちください」という感じ。
まあ、今日のお披露目は「予告編」というところでしょう。「発表にインパクトがない」との声もありますが、評価は来週月曜(米国時間)のE3での発表まで保留、とします。

それでも、注目に値する情報は2つあります。

第一に、ゲームで使われる解像度。
ミストウォーカー・坂口博信氏のコメントの中で、「画像は基本的に1280×720ドット」という言葉がありました。要は、720Pでの表示が基本、ということのようです。
関係者に確認したところ、「全タイトルで720P・全画面アンチエイリアス(PCゲームでいうところのFSAA)が必須」とのこと。ハードのスペック表記上は1080iにも対応していますが、「そこからのスケーリングで表示することになるだろう。ただ、インタレースよりプログレッシブの方がゲーム的には相性がいいので、1080Pに挑戦しない限り720Pでもいいのでは」(前出関係者)とも。
実際のところ、フルHD対応のパネルは少ないですから、720Pは現実的なラインと言えます。

第二に、ゲーム以外の機能も重視していること。

Xbox360は、ウィンドウズXP・メディアセンターエディション(MCE)と連携し、PC内に蓄積した映像・音楽をテレビで再生する「メディア・エクステンダー」機能を装備しています。米国では、現行Xboxにも別売ソフトで提供されていた機能ですが、今回は標準機能になります。
ただ、現行のものと違い、Xbox360のそれはハイビジョン表示に対応します。例えば、PC側で受信したハイビジョン解像度のストリーミング放送を、Xbox360経由でテレビ再生したりもできるわけです。

残念ながら、現在の国内の状況では、パソコンでハイビジョン放送を録画し、さらにそれをXbox360で見る、ということは許されていません。これがアメリカならば、自室にあるPCをサーバーとし、リビングでXbox360からハイビジョン録画を楽しむ……ということも可能なのですが。

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2005.03.20

PS3に見る「PS2の魂」

PS2_1999_0302_02以前からの予定では、今月末くらいまでにPS3の技術説明会が開かれることになっています。(正式なところがどうなったかは不明です。いまのところ。仕事的には、予定通り3月中にお披露目してくれるとうれしいんですが……)

当然のことですが、PS3がどんなハードになるか、正確なところはまだ不明です。ただ、傾向はすでにはっきりしています。実際のところ、以下の傾向は「次世代ゲーム機に求められるもの」として共通であり、Xbox2も同様の特質を持つことになると思われます。
(当然、特定の得手・不得手はあるでしょうが)

・ディスクメディアからの読み込み速度を上げ、大容量データを使っても、ロード時間が高速化できるようにする。(BD/HD DVDなどの次期メディアを使う場合と、回転数を高速化したDVDの両方が考えられます。PS3は前者で、BD採用が確定しています)

・従来の6倍の解像度を持つ、HD(1080i/p)レベルの映像を作れるようにする。それに伴い、テクスチャ/光源処理を高度化し、映像を緻密にする。

・演算能力を高め、キャラクターの動きや衝突判定などに、AIや物理演算を多用できるようにする。

実際のところ、ゲーム内容に一番大きな影響を与えるのは三番目です。高画質化が「見た目」によるおもしろさ・リアリティの高度化だとすれば、こちらは「動き」や「反応」による高度化、といえます。
私は、これが実現しないかぎり、次世代ゲーム機はPS2よりも小さな市場しか築けないと考えています。単純な画質だけでは、PS2などからの「質的変化」を一般にアピールできないからです。
(具体的にどうなるのかは、西川善司氏によるGAME Watchの記事を参考にしてください。 )

ですが実は「演算能力の向上によるゲーム性の向上」は、今に始まった話ではありません。

1999年の3月、PS2が発表された当初、SCEの久夛良木健副社長(当時。現社長)はこういう言葉を多用していました。

「パッドから手を離すと動きが止まる」

PS2は発表当時、高度な演算力を持つCPUを使った機器として喧伝されていました。
写真は、99年3月2日の最初のPS2技術説明会で公開されたデモのものです。
キッチンシンクの上に浮かぶ物体をパッドで動かすと、水面に波が立ち、それにつられて他の物体も動き出す、という内容なのですが、久夛良木氏はこのデモを非常に気に入っていたようです。「パッドから手を離すと動きが止まる」という表現は、このデモを差してのもの。発表直後に行ったインタビューではこのように話していました。

「演算によって世界を生成することで生まれる感動を表現したい。現在は映画のCGなどでのみ使われる物理演算のノウハウが、ゲームに流れ込んでくるだろう」

実際には、画質向上のニーズが依然として強く、物理演算に割ける余剰能力がなかったことなどから、PS2では物理演算を全面的に採用するタイトルは多くありませんでした。
ただし、キャラクターの動きを多彩にするためのAIロジックについては、PS1の時代に比べ、格段の高度化が行われています。事実、ゲーム開発上のボトルネックとして、ロジックを動かすためのCPU能力不足を指摘する声が多くなっています。携帯ゲーム機であるPSPですら、「圧縮の効かないAIロジックを展開するため、当初に比べメモリー搭載量を増やした」(SCE・茶谷公之CTO)という話があるくらいなのです。

PS3のCPUであるCELLとPS2のCPUであるEmotionEngineは、互換性を持たない別のCPUではありますが、技術思想的に似た部分が散見されます。CELLは、久夛良木氏にとってPS2のリベンジ的な要素があるのは間違いないでしょう。

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2005.03.12

そろそろ次世代機

ISSCCとGDCが終わって、情報が出始めてきましたね。私も当然取材中です。5月末くらいまで、いろいろありそうです。E3には行きますので、仕事などありましたらよろしくおねがいします>各位

現時点では、記事以外でコメントすることはあまりないのですが、1点だけ。

次世代Xbox向けに、MSは 「Xbox Guide」というネット系サービスの統括操作環境を定めました。(リンクはGAME Watchの記事)

http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050310/gdc_xb.htm

現行機でも、MS・SCEともに似たことはやっているのですが、有効に使われていません。現行機の構造上、ゲームとネット用操作系のタスクを同時に動かせないので、利用時はゲームのタスクを切る→ネット操作系をロード→終わったらまたゲームをロード、という進行を余儀なくされます。正直かったるい。

次世代機では、ゲームの進行を切ることなく、ネット系サービスが利用できることになるでしょう。PSPを見れば、どうなるかすぐ予想できます。

PSPでゲームをプレイ中にHomeボタンを押すと、ゲームがPauseされ、「ゲームを終了しますか?」という問いとバッテリー残量などが現れます。次世代機ではここで、ネットサービスへのアクセス画面なども出てくることになるでしょう。

MSは公式にこの方針を打ち出しましたが、SCEはどうでしょう? SCE・久夛良木健社長は、筆者とのインタビュー中にこう説明しました。

「ゲームとネットなどのシームレスな切り替えは、次世代機から。PS2ではそういう仕込みができなかったが、次こそ、いろんなメディアが溶け合った世界を見せたい」

これは、PSXに関する取材中に出てきたコメント。PSXは、ゲーム機能とレコーダー機能、DVDビデオ再生機能の利用時に、本体のリブートが必要です。この点について突っ込んだところ、上のような回答が出てきたのです。その後に登場したPSPは、コメントを裏付けるような形での実装がなされていたことになります。

本当はPS2のネット機能「PS BB」でやるはずだったことなんですが、できなかったのはご存じの通りです。家電への応用にも必要な要素なので、次こそしっかり実現されるでしょう。どこまで本当に便利かは、出てみるまでわかりませんが。

まあ、PSXについてはイロイロと話したいことがあるのですがそれはまた別の話。

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