2009.01.26

告知2題+α

まずは、告知を2つ。

ウェブ媒体のasahi.comにて、新しい連載を開始します。
タイトルは、「斎藤・西田のデジタルトレンド・チェック」
見ての通り、1人ではなく、友人であり組んで仕事をすることも多いライターの斎藤幾郎氏と、(基本的に)1週間交代で、デジタル関連のトレンドをご紹介していく連載です。
毎週木曜更新ですので、お楽しみいただければと思います。

「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先に来るもの」、なかなか好調に売れています。
ありがたいことに、先週火曜には、さらなる増刷(三刷目)が決定しました。
たまたま立ち寄った某書店では、「新書新刊売り上げランキング」で第一位になったらしく、ポップ付きで並んでいました。思わずニヤニヤしてしまったのですが、傍から見るとさぞ気味悪い風景だったことでしょう。
今週も、この勢いを維持してくれれば……と期待しています。

さて、「クラウド・コンピューティング」読者の方からメールを2件いただきましたので、その疑問にお答えしておこうと思います。

一つ目は「なぜ、ウィキペディアなどやSNSについて触れていないのでしょうか」というもの。
たくさんの人々が情報を寄せ、それが集約されてひとつの形になることは、いかにもクラウド的なもののように見えます。非常に大切な要素ですし、大きなトレンドでもあります。我々の生活に、ありとあらゆる影響があるのは間違いありません。

ですが、わたしはクラウドを語る中で、あえて「コミュニケーション」の要素を切りました。
なぜなら、先に挙げた例は、おそらく「クラウドとは関係ない」からです。
分散した知の集合(すなわち「集合知」)とコミュニケーションの簡便化は、ウェブとネットワークの持つ基本的な要素であり、クラウド以前からあったこと。
クラウドがそれを加速する可能性は高いのですが、「だからクラウドが生まれた」ということはできません。
極論すれば、クラウドは「コンピュータとネットワークのアーキテクチャ(構造)」に関する議論であり、知やコミュニケーションのあり方とは、また別の意味を持つと考えられます。さらにいえば、クラウドは「リソースをどう生かすか」の問題といってもいいでしょう。
ネットに関する議論の中では、「コミュニケーション論」「技術論」「法律論」「経済論」などが入り交じって語られることが多くなっています。もちろん、それぞれを独立して語れない場合も多いのですが、クラウドの場合には、「リソースにかかわる議論」に切り分けることで本質がわかるだろう、と考えました。その結果、わかりやすい内容にまとめられたと思うのですが、いかがでしょうか?

二つ目は「本当に企業でGmailを使っても、セキュリティは問題ないのですか?」というものです。
メールには機密文書も含まれる場合が多く、それを「社外のストレージ」に貯めるのは怖い、ということでしょう。
本文中でも述べたように、もっとも重要なことは、信頼できるサービスを利用する、ということなのですが、工夫が必要になる場合もあるでしょう。
例えば、大手SIerで、全従業員1万人のメールシステムとして「Google Apps Premire Edition」を導入した富士ソフトの場合、単純に使うのではなく、いくつかの工夫を行っているようです。
例えば添付ファイルは、Gmailサーバーに置かず、「社内に置いたセキュアなストレージへアクセスするリンク」をメールの中に記載する形になるよう、カスタマイズが行われています。
また、VPNとGoogle Appsを同時に使えるようにするため、シングル・サインオンの仕組みも導入したとのことです。
このように、「必要ならばカスタマイズ」し、リソースの流動化・分散化を行うというのが、企業内でのクラウドのあるべき姿、ということになるでしょう。

……え? なんでこのエピソードが本に入っていないのかって?
残念ながら、執筆後に入ってきた情報だからです。非常に動きの速い分野だけに、執筆終了からの1ヶ月半で、色々変化が起きている、ということです。(オバマ氏も、ブラックベリーを使い続けられるようになったみたいですし)

以上、補完情報でした。

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2008.12.29

1月13日に新書を出します

さて、告知です。
1月13日に、新書を一冊出します。

Cloud 書名:クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先に来るもの

(クリックするとアマゾンへ飛びます)
ISBN:978-4-02-273254-5
発売元:朝日新聞出版
判型:新書
定価:本体740円
(税込み777円)
2009年1月13日刊行予定
(アマゾン上の表記では8日)

テーマはずばり「クラウド・コンピューティング」。
……というと、「はやりにのってバズワードの本を出すの?」と思われる方もいそうです。
クラウド・コンピューティングが流行りのバズワードであることは否定しません。数年後にはあまり耳にしない言葉になっているかもしれません。
ですが、当方にはまた別の狙いがあります。
私は、言葉はなくなったとしても、「クラウド的」なコンピュータの使い方は定着するだろう、と予想しています。なぜなら、クラウド的な使い方は、ある程度ネットを活用している人にとって「当然」のことだからです。
(だからこそ、「クラウドなんて、わざわざ語らなくても……」という人がいるのでしょう)

ですが、多くの人にとってはそうではない。
「Gmailが便利であること」「iPhoneが便利であること」「ネットブックが売れること」が、ひとつの軸でピン、とくる人は意外と少ないのが実情でしょう。また、ピンとくる人でも、その「軸がなにか」を簡単に説明できる人は少ないはずです。

「ピンとくる人」と「こない人」の間をつなぎ、「今なにが起きているか」を語っておく、というのが、本書の狙いです。はっきり言って初心者向け(もっといえばオジサン向け)の本ですが、面白く読んでいただけるのではないか、と考えています。
少なくとも、「パソコンやケータイで情報管理を効率化するノウハウ本」としても読めるようになっておりますので、ご一読いただけると幸いです。

ちなみに現在、この他2冊ほどの書籍プロジェクトが進行中です。
1冊は比較的近々、もう1冊も遠くないうちに発表できれば、と思います。
よろしくお願いいたします。

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2008.02.01

失われた7年

1月28日、ちょっとショックなニュースがありました。

マック用アプリケーションベンダーの老舗、エルゴソフトが、パッケージソフトビジネスを終了する、というものです。 その結果、ワープロソフトの「egword」、日本語IM「egbridge」が世の中から消えることとなります。

これは、私にとって実に悲しい出来事です。
なにしろ、毎日仕事に使っているツールがなくなるのですから。
私は、普段の原稿執筆に、マックではegword、ウィンドウズでは一太郎を使っています。
校正支援機能では不満が残るものの、egword Universal2 のレイアウトの美しさは、快適に作業をする上で、非常にありがたいものです。

ただし、エルゴソフトの撤退は、私にとって意外なものではありませんでした。
5年くらい前から、アプリケーションソフトを取材するたびに、「アプリケーション・ソフトというビジネスは厳しい」という実感を、ひしひしと感じていたからです。
過去5年間に、ゲームとセキュリティ対策ソフトをのぞくと、何本アプリケーションをお買いになったでしょうか? ほとんど買った記憶がない……という人も少なくないはずです。
これは、マックに限った話ではありません。

2007年以降、パソコン業界では「失われた7年」という言葉を耳にすることが多くなりました。
パソコンの売り上げが落ち、アプリケーションの売り上げが落ち、パソコン関連媒体の売り上げも落ちる。
「パソコンが普及して普通の道具になったから」「機能が十分備わったから」などと言われますが、本当にそうなのでしょうか?
ウェブなどの通信周りは大きく変化したものの、文書やデータの作成・管理という部分は、1990年代後半から、驚くほど変化がありません。
各メーカー(特にマイクロソフト)が、変化と呼ぶに足るものを提供していないから、という事実も否定できませんが、むしろ原因は、我々の意識にもあるのではないか、と思っています。
「ソフトによって、パソコンは姿を変える」という、恐ろしく基本的な事実を、忘れかけているのではないか、と。

例えばこんな事実があります。
現在、パソコン誌に掲載される事のほとんどは、「ハード」に関するものに偏っています。理由は、ソフトの力による「パソコンを使った新しいライフスタイルの提案」といった記事には、ほとんど反響がないからです。
書いている側・企画する側の能力不足・努力不足を棚に上げるつもりはありませんが、力を入れて取材しても、いまひとつ響きません。 (例外は、OSの新バージョンに関する記事くらいでしょうか)
その結果、「文書作成のあり方を考える特集をしましょう。ワープロソフトによる適切なユーザーの種別とか、今後のワープロに望まれる機能とかを探りましょう」と企画をもちかけても、「ハード以外は、よほどじゃないと……。そもそもワープロって、なにか変化がありますか? 必要ですか?」という返事が帰ってくるだけ、になってしまったわけです。

1990年代前半は違いました。パソコン誌にはソフトの記事があふれ、アプリケーション市場も活況といってよかったでしょう。

なぜこんなに変わってしまったのか?
これは、友人であるライターの斎藤幾郎氏とのディスカッションで生まれた結論なのですが、 「アプリケーション・ソフトがコンテンツとみなされなくなったから」 ではないか、と思うわけです。

インターネットが普及するまで、パソコンは「文房具」でした。
パソコンを楽しむとは「良い文房具を選ぶ」ようなものであり、そこで鍵を握っていたのは、アプリケーションだったわけです。 パソコンにとってメインのコンテンツが、「アプリケーションを選び、使う」ことであった、といってもいいでしょう。

インターネットが普及すると、パソコンは「通信機器」になります。
最大のコンテンツはウェブそのものであり、パソコンを楽しむためにアプリケーションを選ぶ必然性は薄れました。
特に、仕事などのために「パソコンを使わざるを得ない」人々にとって、アプリケーションは「とにかく覚えねば仕事にならないもの」でしかなかったわけです。
とすれば、アプリケーションを買い換えて「ちょっと便利になる」ことに対し、新しい操作方法を覚えたり、ソフト代を払ったりといった「コスト」を払うのは、割に合わない、と感じることになります。
でも、「新しいパソコン」や「周辺機器」というモノを買うことには興味がある。 だからこそ、パソコン誌はハードの情報しか載らない媒体へと変わっていったわけです。

「そんなことない。私はソフトが好きだ」と思った方。
あなたは奇特な方です。昔ながらのパソコン好きに近い。 2000年以降、圧倒的に増えたパソコンユーザーのほとんどは、「興味があるとすればハード」という、新しい層の人々なのです。残念ながら。
(余談ですが、このあたりの事情は、もう一つのパーソナル・コンピュータであるケータイにも通じます。新サービスやバンドルアプリケーションがどうであろうと、ユーザーの興味のほとんどは、ハードの出来に集まります。それに対し、スマートフォンや海外製ケータイは、ハードよりもソフト側にその本質があるため、古くからのPCユーザーに人気があるわけです。)

パソコンが普及していくには、こういった考え方が必要だったのでしょう。
しかし、現在、その副作用は深刻なものとなっています。
ソフトの進化による変化が伴わない場合、パソコンというハードは「均質化」という流れから逃れにくくなります。 となると、速度やバッテリー持続時間などの面で不満を感じない限り、パソコンを買い換えたり、買い足したりする必要もなくなります。 ソフトの力もさらに弱くなる。
「ケータイでいいんじゃない?」という層に、パソコンを買ってもらうこともできなくなります。

「失われた7年」とは、こういった現象を指したものなのです。
エルゴソフトの廃業は、「失われた7年」の結果だといえるでしょう。
では、7年で失われたものをとりかえすにはどうすればいいか? 各メーカーの中では、検討が始められています。 「失われた7年」の原因に、マイクロソフトの功罪があるのは間違いありません。ですから、マイクロソフト自身も「なにをすべきか」「どうすべきか」を考えはじめています。

このような流れで考えると、「初音ミク」という現象が、ネットユーザーとオタク層に限られたムーブメントであるとはいえ、いかに驚くべきものであったか、ご理解いただけるのではないかと思います。

ワープロなどのプロダクション・ツールでなにをやるべきか? 答えはなかなか出ないだろうと思いますが、注目していきたいと考えています。個人的な予想としては、すでに単体アプリケーションとしては厳しく、ネット上のサービスなどと連携する形での進化しかないのではないか、とも思っています。

みなさん、久しぶりに、ワープロソフトなどの公式ページをきちんと読んでみませんか? もしかすると、自分が不満に思っていたことが解決されているかも知れませんよ。

(といいますか、媒体関係者の方々、「ワープロの未来を考える」という企画、買ってくれませんかね?)

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2006.10.10

STOWAWAY SIERRAを使う

現在、外出時の取材用PCとして、ソニーの「VAIO type U」を使っています。ライター仲間からは、「そんなの無理して使わなくても」と辛辣なことを言われたりもするのですが、無理などしているわけではありません。(そもそも、そんな義理などありませんし)

type Uを使う理由は、「ペンで手書きしつつ使える実用的なPCの中で、最小であるから」に他なりません。X41Tを使っていた時には、2kg弱という重さとB4に近い大きさから、いすに座ってできる、インタビュー以外の取材で手書きをすることは不可能でした。しかし、type Uは軽い上にシステム手帳程度の大きさですから、囲み取材でも紙でなくペン記録が使えます。(なぜコンピュータへのペン記録にこだわるかは、以前の記事をご参照ください)以前はICレコーダーによる音声記録だけでしたから、少々不便な思いもしていました。

しかし、type Uだけで実用的に使えるわけではありません。type Uのキーボードは、パスワードや検索キーワードの入力程度ならいいものの、メモや原稿執筆をこなすにはあまりにお粗末。そこで必要になってくるのが、実用的な外部キーボードとマウスです。

今回のtype UにはBluetoothが内蔵されているため、Bluetooth対応のキーボードやマウスが利用できます。(以前のモデルは内蔵でなかったため、取り回しがなかなか大変でした)
とはいえ、デスクトップ用のキーボードを持ち歩くのはナンセンス。そこで注目したのが,
STOWAWAYのUniversal Bluetooth Keyboardです。Cimg0508_1
折りたたむと手のひら大でありながら、十分にタイプ可能なサイズのキーボードになるため、実用的な速度でタイプが可能です。1年半ほど前、海外出張時に興味本位で購入しておいたものなのですが、ここにきて実用に供されることになったわけです。

と、こういうことを考えていたのが今年5月末のこと。type Uを発売前に借り、WinHEC取材に持ち込む際、BluetoothマウスとSTOWAWAYのセットで使って見たところ、これがいい感じだったのです。囲み取材で使えることが重要だったのですが、考えてみると、type U・キーボード・マウスのセットでも1kg弱と、X41Tの半分の重さでしかない上に、バッテリー持続時間は実測で6時間強と、こちらもX41Tの2倍弱。そしてなにより、内蔵マイクの感度が良いため、Onenoteで音声を同時に記録する際でも、音質がよく聞きやすいのです。画面の小さささえ我慢できるなら、こっちの方がいいのではないか、という結論に至りました。

というわけで、現在もtype Uは外出時の取材マシンとして活躍中です。X41Tは自宅でのメイン執筆マシンになっていたのですが、三度目の故障を迎え、別の製品へと置き換えられてしまいました。(この話は、またいつか)

使い勝手のいいキーボードとのセットで実用性があがったわけですが、問題点も少し。それは、STOWAWAYの作りにあります。
折りたたみの割にはタッチの良いキーボードなのですが、数字キーがないなど、配列が特殊で、タイプミスがけっこう目立ちました。また、構造上キーボードの左右が浮いており、エンターキーなどを押すとがたつく、というのも気になるところだったのです。

で、長くなりましたがここからが本題。
そういった問題を解決するキーボードが、やはりSTOWAWAYから登場しました。Cimg0507_1

数字を含む5段配列を採用した「STOWAWAY SIERRA」がそれです。今日手元に届きましたので、ちょっとレビューをしてみましょう。

以前のSTOWAWAY Universal Bluetooth Keyboard(SIERRA導入に伴い、「SONOMA」という愛称がつけられたようです)では、真ん中での2つ折りとなっていました。しかしSIERRAは4つ折りで、完全に平らな状態となります。そのため、キーボード右ががたつくことはなくなりました。
しかし、SONOMAでは中央部がしっかりホールドされており、膝の上でも折れないくらいだったのに対し、SIERRAでは中央部をロックする仕組みがないため、キーボードの真ん中が少々たわみ気味です。かっちりとした打鍵感を求める人には、SIERRAの方が好みではないでしょうか。
Cimg0518
キー数が増えたこともあり、設置面積はSIERRAの方が圧倒的に大きくなっています。キートップの大きさは両者ともほぼ同じですから、周辺部の分だけ大きくなっているということです。

Cimg0506_1
SONOMAはマットなアルミ仕上げの比較的(?)落ち着いたデザインですが、SIERRAはごらんのようにピカピカテカテカ。この辺も、かなり好みは分かれるところでしょう。

キー配列は、ESCキーやDeleteキーをのぞき、比較的標準的なもの。右側にはアプリケーション起動キーが用意されていて、type Uの場合には、上から「電卓」「デフォルトの音楽プレーヤー」「デフォルトの電子メールソフト」「デフォルトのウェブブラウザ」が呼び出されます。便利でもあるのですが、エンターキーとのミスタイプも多いため、外してしまおうかとも思っています。

結論から言えば、SIERRAの登場によりSONOMAの価値がなくなる、ということはなさそうです。キー配列がノーマルであること、左右ががたつかないことなどのメリットはあるものの、設置面積が大きいこと、中央部がたわみがちでタイプ感に劣るところがあるなど、SONOMAの方がいい部分もある、という感じでしょうか。
自分としては、配列と左右のがたつきのなさを採りますが、また別の判断もあって不思議ではありません。ここは、選択肢が増えたことを喜んでおくことにしましょう。

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2006.07.04

隠れた逸品

最近は、Vistaのテストやら再セットアップやらで忙殺されています。手をかけて検証した分だけ原稿に跳ね返るので、時間をかけざるを得ないんですよね。

しかも、実は先月から外での取材用に新機材を導入、その運用ノウハウを構築するのも大変(といってもおもしろかったわけですが)でした。
その新機材とは「VAIO type U」。実は、先月末のWinHEC取材からずっと使っていたので、すでに一月ほど使っている計算になります。(各所ですでにレビューなどが上がっているので、いまさら書くまでもないかな、と思っていますが、もしご希望なら、コメントでお知らせください。現在どのように仕事に使っているかを書こうかと思います。)

で、ここからが本題。

新OSのテストをしたり、新規導入マシンのセットアップをしたりしていると、どうしても「OSのセットアップ」だとか「データ/環境のバックアップ」だとかに時間を取られがち。
ライターデビューしたての、ウィンドウズ95登場の頃は、フロッピーディスクや2倍速CD-ROMで何十回・何十台となくセットアップしたものです。膨大な時間に気が遠くなりそうでしたが・・・

いまやそれなりに歳を取って多忙となり、セットアップをじっくり待つのも苦しくなってきました。
で、最近便利に使っているのが、バッファローのUSBポータブルハードディスク「HD-PHG」シリーズです。

一見、落としても壊れにくい2.5インチサイズのドライブ・・・と見えますが、これはそれだけではありません。
便利なのは、「仮想CD機能」と「バックアップ機能」を備えていることです。

本体後ろにあるスイッチを切り換えると、パソコンからはドライブが仮想的に「USB接続のCDドライブ」として認識されます。CDをISOイメージでドライブ内に取り込んでおくことで、「ハードディスクの速度で読み込めるCDドライブ」になるわけです。OSのセットアップを繰り返す場合には、この速さがけっこう効いてきます。

もう一つの利点、バックアップ機能は、仮想CD機能の応用です。この製品には、内部にバックアップソフト「TrueImage LE」が組み込まれています。これを使うと、HD-PHGをパソコンにつないでブートすることで、HD-PHG内に、パソコンのハードディスクのデータを、OSごとバックアップすることができます。

しかも、仮想CD機能では、ドライブ内に複数のCDイメージを入れておき、適宜切り換えて使うことができます。例えば、ノートPCのリカバリーディスクとVistaのベータディスクを入れておいて、HD-PHG一台でどちらへの復帰も簡単、という使い方ができるわけです。

type Uが自宅に届いた時のことです。手元にはちょうどVistaもあることだし、と考え、Vistaを入れてみることにしました。ただ、すでに仕事環境の構築をはじめていたこともあり、フォーマットしてしまうのは面倒。そこで、HD-PHGのTrueImageを使ってXP環境をバックアップ、CDイメージ機能を使ってVistaをセットアップした後、調子を見てまた元の環境に戻す、ということをしました。これが、ディスク入れ替えを伴うとなると大変ですが、HD-PHGならば、ドライブ1台でできてしまいます。

これらの機能は、普通の外付けHDDでも、別途ソフトをセットアップすれば可能なことです。しかしHD-PHGは、最初からそれらがセットアップされていて手間がない上に、利用時もスイッチ一つで切り換え可能、というところがありがたいところです。モバイルHDではありますが、OS環境のセットアップ用に、デスクトップ・ユーザーにもオススメの商品です。

実はこの製品、1月に海外取材に向かう時、ある編集者に「トラブル回避用にどうぞ」といって渡されたものです。パソコンがトラブっても短時間で復旧可能になる上に、現地で集めたデータのバックアップにも使える製品として、重宝していました。その後の出張時には、最新のバックアップを入れたHD-PHGをパソコンと一緒に持ち運ぶようになりました。あまりに便利なので、使っているノートパソコン1台につき1台づつ使えるよう、色違いで買いそろえてしまったほどです。

パソコン誌などは、どうしても新製品が中心となり、こういった「隠れた逸品」を紹介することはなかなかできないのが残念なところです。


そうそう、ブログは明日も更新します。話題は、この会社の新製品について。

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2006.05.19

注意喚起:IE7 β2はInternetDiskとの組み合わせで重大な不具合あり

何度か述べてきたように、私はバックアップなどの用途に、ジャストシステムのInternetDiskを使っています。

これと、先日公開されたIE7 β2日本語版との組み合わせで、重大な不具合が見つかりましたので、注意を喚起しておきます。

IE7 β2をセットアップしたPCでは、InternetDiskへデータを転送する際、ファイル名が化けたり、同期機能が使えなくなったりする症状が確認されました。
同様の不具合があった場合、IE7をアンインストールすることで解決します。

InternetDiskの公式ページにも「未サポート」の旨書かれていますが、未サポートどころか明確な不具合がありますので、問題が解決するまで、IE7を利用しないことをおすすめします。

なお、この問題は、どうやらIE7をセットアップしたPCで、日本語ファイル名の扱いが変わっていることに起因するトラブルと思われます。そのため、IE7だけでなく、Vistaでも同様のトラブルが起きる可能性があります。

マイクロソフト側の問題も大きいのですが、このところInternetDiskは、クライアントのアップデートも行われておらず、積極的な投資がなされていないのでは、という感じを持ちます。
基本的には安定したサービスであり、好感をもってはいるのですが、そろそろ、サービス内容やサーバーの仕様も含め、改善を望みたいとことです。

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2006.04.18

故障に備える

この1ヶ月で、連続していろいろなものが故障しています。
自宅のNASが故障、そしておとといには、メインマシンであるThinkPad X41Tがいかれました。

といっても、データはきちんとバックアップされていましたし、どちらもHDDは無事だったので、致命的なトラブルにはなっていません。(面倒であることに違いはないですが。本当は、今回はもっと別の話題を書くつもりだったんですが……)
とりあえず、NASは退役、X41Tは修理行きです。
パソコンに関しては、バックアップの意味から、買い換えた時にも、一つ前の旧機種をそのまま残すようにしているので、X41Tが修理から戻るまでの1週間程度は、旧メイン機であるHPのTC1100を使うことになります。

最近、「故障時にデータを取り出す」という点に関し、いろいろな問題が出てきています。
ノートパソコンには、セキュリティ向上のために暗号化機能が組み込まれることが多くなっています。ですが、これが問題。ハードディスク全体を暗号化している場合、故障などでハードディスクを取り出しても、データをサルベージできないわけです。

本当は良くないのですが、私の場合には、ハードディスク暗号化は行わず、BIOSとOSによる指紋を使った起動ロックだけをかけるようにしています。故障時に取り出せないと致命的、という経験を何度もしているからなのですが。

また、現在は宅内のサーバーと、ジャストシステムのネットストレージ・サービス「インターネットディスク」へ、自動的にデータをバックアップするように環境を整えてあります。
まあ、こちらがしっかりしているので、パソコン側のハードディスクに関しては、完全に暗号化をかけてしまっても問題はないと思うのですが、やはり不安なのです。

バックアップという点で少し楽になったのは、「メール」のバックアップが不要になったことです。
メールのデータは、数年分ともなると数GBあり、バックアップが大変なデータの一つ。その割に、依存度が高くて消えては困るデータでもあります。

それを「バックアップしない」ってどういうこと? とお思いではないでしょうか。
秘密はGmailの併用です。
Gmailを使い始めてから、私はメールをすべてGmailののアカウントに転送しています。容量は十分ですから、メールを一切消さず、すべてを残しておくことができます。
出先や携帯などでもメールを探せますし、仮に、万が一メールデータが全部消えた時でも、Gmailに対して電子メールソフトからPOP形式を使ってアクセスし、データを再びパソコンへ取り込むことが可能になります。

こういう使い方は、別にGmailでなくても、保存容量の大きなウェブメール・サービスであれば、どこのものでも同じように使えます。セキュリティ上の用件から、他のアカウントへメールの転送が許されていない企業システムなどでは使いづらい策ですが、個人用のバックアップ・システムとしては、なかなかリーズナブルなものだと自画自賛しているのですが。

Gmailもシステムトラブルとは無縁ではありませんが、自分のパソコンとGoogleが同時にダメになる、なんてことが起きる可能性は低いので、かなり安心できるはずです。

NASに関しても、最近故障のトラブルで困った、という例を良く聞きます。
Linuxを使ったNASの場合、データを取り出すのが難しくなっています。ハードディスクの復旧サービスでも、NASを対象にしたものが目立つようになりました。
RAIDなどの、データ破損を防ぐ仕組みのあるNASを選ぶか、PCからデータの取り出しやすいFAT形式やNTFS形式でデータを保存する製品を、PCと組み合わせて使うのが良いでしょう。

結局、トラブルを防ぐには「多重化」が可能な仕組み、故障時にもデータを取り出しやすい仕組みを用意しておくしかないのです。
今回は、トラブルの割にダメージは低かったのも、これまで何度も痛い目にあって学んだ経験で作り上げた仕組みによるものと考えています。

・・・まあ、故障しないのが一番なんですけど。

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2006.01.08

Google VideoStoreの衝撃

CESで今年最高の基調講演は、間違いなくGoogleのものでした。
(個人的には、これまでで最高のkeynoteです。内容はもちろん、生でロビン・ウィリアムズのスタンダップ・コメディを数十分堪能できたんですから……。実はアメリカン・コメディのマニアなので、夢のような時間でした)

MITの$100PCからGoogle Pack、フォルクス・ワーゲンと組んで開発中の自動車向けGoogle Localと、内容は盛りだくさん。内容の濃いものでした。

中でもやはり注目は、Google VideoStore。
CSIやスタートレックといったCBSの人気ドラマ、ソニーBMGのミュージッククリップ、それにNBAの全試合が、ほんの2ドル弱でダウンロード可能なのですから。
サービス上は、ユーザーの多いビデオ対応iPodとPSP向けのメニューが用意されていましたが、H.264で符号化されているだけであって著作権保護はかけられておらず、ポータブルデバイスにも転送可能です。
(といっても、まったく著作権保護技術がないわけではありません。最初の購入時に「ずる」をされることを防ぐ目的から、PC上で独自の著作権保護を行う技術を開発しており、サービスの利用に必要な「Google Video Player」で利用されているようです)

番組ダウンロードはすでにアップルが手がけていますが、Google VideoStoreもこれに習ったもの。解像度も画質もそこそこですが、人気があって誰もが見たいと思う映像を、負担なく購入できる価格で提供するというスタンスです。

有望なサービスが2つ登場したことで、少なくともアメリカでは、SDレベルの映像をダウンロード販売する枠組みができあがったこととなります。

CES会場でも、ポータブルプレイヤーにおける映像再生は、すでに「標準機能」という扱いです。昨年は「Shuffleモドキ」が多かったのですが、今年は「nanoモドキ」や「5G iPodモドキ」がたくさん登場、それらには必ずといっていいほど映像再生機能が組み込まれています。ただ、多くがMPGE4までの対応で、H.264に対応した機器はそう多くないため、それらの機器で映像配信を再生できませんが。今後は、こういったサービスを視野に入れたH.264対応が必須機能となりそうです。

それに比べると、日本はちょっと寂しい。
映像に関する権利が分散しており、処理が複雑であること、ワンセグをはじめとした「放送系」の流れが強いことなどから、アメリカのようなダウンロード販売は当面望めません。(iTMSの日本上陸より手間がかかりそうです)
昔の番組はともかく、せめてこれから作る番組や、自社で権利が完結する番組くらいは、Google VideoStore/iTMS並の気軽さで販売してくれるといいのですが。

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2005.12.20

コピーワンスなのにダビングOK?!

本日、NEC富士通東芝からパソコンの新製品が発表になりました。
本来「春商戦」向けの製品が、いつのまにやら年末に発売されるというアパレル業界をも超えるヘンな状況になってしまいましたが、まあそれはともかくとして。

注目は、パソコンでデジタル放送録画のムーブが可能になったことです。とりあえず、NEC・富士通両方が対応してきました。これは、まだそれほど驚くべきことではありません。

意外だったのは、富士通がデスクパワーLXで、デジタル放送録画の「DVDダビング」を実現してきたことです。

ダビング?!

ご存じのように、現在日本国内のデジタル放送のデジタル録画には、「コピーワンス」制限がかけられています。いったん録画した番組をダビング、すなわち複製することは認められていないはず・・・・。

現在、コピーワンス制限については見直しの論議も行われています。事実、後述しますが、JEITA側よりある緩和提言が行われています。

ですが、今回の製品については、現行のコピーワンス制限を定める、ARIBの規約の枠内で実現されています。あまりに微妙な問題なので、富士通側が記者を集め、仕組みに関する質問会を開いたくらいなのです。

仕組みはこうです。

コピーワンス規定には、DVDレコーダーなどで使われる「ムーブ」の他、ディスクへと直接録画する方法も含まれています。この際、ディスクを入れ忘れて録画を開始すると、録画に失敗する可能性が存在します。そのためARIBの規定では、「ディスクへ録画失敗を防ぐバッファ分」として、機械全体で「1番組分」の重複録画が認められています。
富士通が利用するのはこの規定です。
要は、「録画失敗防止用のバッファ分」を、ダビング用データにしてしまったのです。
このバッファ領域は厳密に暗号化され、ダビングしない限り映像として再生できないのはもちろん、パソコン上のファイルシステムでも利用できません。システム上は「バッファ」としてしか使えないわけです。そして、元々ディスク書き込み用に記録されるデータなので、ディスクに書き込んでも規約上は問題ありません。

実際の動作としては、録画予約時に「ダビングする番組」と指定すると、同じ番組データを「通常の録画データ」と「ダビング用データ」(すなわちバッファ)の2つ分保存、ダビング時には後者を削除しつつ、ハードディスク内に前者を残すことで、番組のダビングを実現するわけです。

私同様、会見に参加した、ライターの笠原一輝氏はこの仕組みを「ディスク作成のタイムシフト」と称していたのですが、言い得て妙です。

あくまで「バッファ」ですから、ダビング可能なのは全録画予約番組中、指定した1番組のみ。ダビングを行わない限り、新たに別の番組を「ダビング指定録画」することはできません。

なかなかすごい解釈を見つけ出したものです。
アクロバットとしか言いようがありません。富士通側もそれは認識しているらしく、「『ダビング』という言葉は、ユーザーがわかりやすいようにつかっているだけ。本質的にはダビングではない」というくらいです。

富士通がデジタル放送の録画に対し、技術開発と規定解釈の両方で努力を続け、成果を出したことには拍手を送ります。残念ながら、編集してのダビングやムーブができない、という弱さはありますが、パソコン上で実現できたことそのものが貴重なことです。(ちなみにこの機能、すでに出荷済みの同社の地デジ対応パソコンにも、ソフトウエアのアップデートとして提供されるとのこと。すばらしい!)

ですがそもそも、こんなアクロバットをしなければいけないルールの方がおかしいのではないでしょうか?

現在JEITA側では、コピーワンス制限を緩和し、「ダビング回数に制限を加えない」ルールの提案が根回しされています。録画は従来通り暗号化して行うものの、そこからのダビングには回数制限をかけません。ただし、ディスクへのダビングには、CPRMを使った暗号化が行われます。著作権保護が行われたディスクとしてダビングすることで、海賊版のように無差別な複製を抑制する、という仕組みです。

実は年内にも発表、という動きがあったのですが、各方面との合意などは来年以降に持ち越される公算が強まっています。

デジタルテレビ録画に関しては、来春に向け、いまよりも視界の良い時代がやってくることを期待できそうな雲行きです。

なお、次世代DVDのアナログ映像出力問題についても、いい方向に向かっています

著作権者・メーカー・消費者のすべてが納得しうるルールは難しいものです。この数年の様々なトラブルを経て、それを見つけ出す道筋がみえてきた、ということならいいのですけれど。

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2005.12.10

Gmailのなにがスゴかったのか

前回、Gmailの話が出ましたから、ここでついでにもう少しGmailの話をしておきましょう。

Gmailは、一般には「最初にギガバイトクラスの容量を提供した無料メール」というところが画期的だった、と認識されています。
ですが、それは正しくありません。容量は結果であり、本質はウェブメールの「ユーザーインターフェース」の常識を破壊したことにあります。

Gmailは、ウェブメールであるにもかかわらず、まるで単体アプリケーションのメールソフトのごとく使えるのが特徴です。キーボードショートカットで操作でき、新着メールが自動的に確認され、アドレスをタイプすると、アドレス帳からオートコンプリートで入力補完される。俗に言う「Ajax」技術を使い、ページを動的に制御してみせた結果できあがったサービスです。
(残念ながら、京ぽんを含む携帯電話系フルブラウザでは正常動作せず、このダイナミズムを味わうことはできません。PC上で使い込んでみることをおすすめします)

これまで、ウェブメールは「補完的」なサービスにすぎませんでした。日本では「捨てアカウント」用の、アメリカでは「恒久的に変わらない、とりあえずの連絡先」として使われる程度であり、ウェブメールそのものをメイン・メーラーとして使うのはナンセンスなことでした。理由は、通常のメーラーに比べ、著しく操作性に欠けていたからです。

ところがGmailは、メーラーより高速とはいわないものの、そのままメインメーラーとして使っても問題ないほどの操作性を備えて登場しました。当時Goolgleの開発担当者に取材したところ、このようなコメントがかえってきました。
「狙いはメインのメーラーとして使えること。操作性と容量は、目的から逆算した必然」

通常のPOPによるメールアカウントは、メールサーバーよりメールデータをローカルにダウンロードして使うのが基本。なので、メールボックスの容量は「一時蓄積」に耐えるだけの容量があれば十分。数日間のメールに耐えうる、100MB程度もあれば不足を感じることはありません。
しかし、データのダウンロード先のないウェブメールの場合、メールを逃がす先はないので、容量はあればあるだけ必要になります。一度、ご自分のパソコンのメールソフトで、メールボックスのファイル容量を確認してみてください。数年間使っているパソコンなら、ギガバイトクラスであるのがふつうのはずです。となると、「メインで使うメールサービス」としてのウェブメールには、ギガバイトクラスの容量が必須なのです。

そしてもちろん、それだけメールがあれば、「検索」したくなるのも必然。そこはまさにGoogleの十八番です。

Gmailが注目を集めた昨年夏、各社から「ギガ」を売りにしたメールサービスが複数登場しました。
しかし、今それらはどのくらい使われているのでしょうか?結局、容量が大きいだけでは「サブ」に落ち着いてしまい、サービスへの定着が難しいのです。
当時、私は各社に企画意図などのインタビュー取材を行いました。ですがその中で、Gmailの核心が「容量にない」ことを認識していた会社は、たった2社だけでした。他の会社、特に国内のポータル系の各社は「Gmailって、容量以外になにか違いありましたっけ? 容量で負けないようにまねすればいいと思ってるんですが」というような感じだったのです。

その2社とは、ヤフーとマイクロソフト。
ヤフーはGmailの発表直後の7月、Ajax関連の開発企業を買収しました。マイクロソフトは、2004年初頭からAjaxやRSSの研究を本格化、Gmail登場の頃には、次の開発技術のコアに位置づけ、新開発ツール「Atlas」プロジェクトをはじめていました。

比較的性能の高いクライアントの能力を生かした動的なウェブを使い、大容量・高速なサーバーの能力を反映したサービスを提供する。パソコン内のローカルストレージに頼らず、どこでもリッチなサービスを提供する。

俗にいう「Web2.0」のコンセプトは、ここから本格化します。

実際にはGmailには、Google Mapsなどに代表される「APIを公開し、外部サービスにも有機的に広がっていく」というもう一つのコンセプトが欠けています。Google MapsとGmailがWeb2.0のスタート点として語られるのは、こういった事情があるのです。

今日、英語版のGmailに、RSSフィードを受信して表示する機能が組み込まれたことが公開されました。デスクトップ上で常用し、常にチェックしたい情報といえば、メールとRSS。あとはインスタントメッセージングやSkypeに代表されるボイスサービスというところですが、ここも同社はGoogle Talkでカバー済みです。
デスクトップ上に開いておき、情報の窓口として「依存させる」準備は整いつつあります。

先ほど挙げたGoogleのライバル、ヤフーとマイクロソフトも黙っていません。特にマイクロソフトは、水面下で驚くほどの「Googleシフト」を引いています。
まだ詳細はお伝えできませんが、次期MSオフィス「オフィス12」は、単体のアプリケーションとして過去最高の出来であるだけでなく、「アプリケーションからWeb2.0を攻める」仕組みを備えた、かなり野心的なプラットフォームに仕上げられつつあります。
(実は、先日米・マイクロソフトのスティーブ・バルマー社長のインタビューに同席、この辺の話題をいろいろ仕入れてきたのですが、様々なしがらみもあり、お話するにはもうちょっと時間をいただきたいところです)

来年は、「ネットの向こうのデータを窓越しにさわる」感覚のアプリケーションが、Googleやマイクロソフト、ヤフーからどんどん登場してくることになるでしょう。
(国内だと、注目はやはりサイボウズですかね)

そういう意味では、携帯電話系フルブラウザで、Ajaxサポートが弱いのが残念なところ。ここで満足できるパフォーマンスでAjaxが扱える携帯系ブラウザが登場すれば、サービスの組み方によっては、「ケータイ内のローカルアプリなど無意味」という、おもしろ世界が登場するのですが。初代京ぽんが、Bookmarkletの活用により「化けた」おもしろさが、100倍にして帰ってくる、というといいすぎでしょうか。
不覚なことに、W-ZERO3のブラウザでの動作状況を確認していないのですが、携帯系よりは有利なはず。もしAjaxおよびWeb2.0的サービスの動作で携帯系より優位な地位を占め続けるとすれば、また別の意味でもおもしろいのですが。

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2005.08.24

GDS、「検索」から「デスクトップ」へ

Googleがデスクトップ検索ツール「Google Desktop Search」の次期バージョンを公開しました。(以下はニュースリリース。英文です)
http://www.google.com/press/pressrel/desktop_2.html

いくつかのニュースサイトが報じています(リンクはInternet Watch)ので、機能の詳細についてはそちらを参照してください。

一番の違いは、検索エンジンから離れ、デスクトップ上で様々な情報を統合的に表示するためのツールに変化したことです。そのため名称からも「Search」が消え「Google Desktop2」になっています。メインとなるのは、RSSやATOMで取得した情報、デスクトップ内の検索データなどを、サイドバー内に表示する機能です。Google Desktop APIという独自APIを用意、サイドバー内の機能を追加することも可能です。

検索機能もかなり強化されています。
従来不可能だったネットワークドライブの検索も可能になり、インデックスファイルの暗号化も行われています。
検索結果をウェブでなくサイドバーに表示することができるようになったのも注目です。英語検索であればインクリメンタル・サーチも使えるようになりました。挙動としては「MSN サーチ ツールバー with Windows デスクトップ サーチ」に似ています。

Googleの狙いは明確。OSメーカーの領分に、本格的に挑戦することです。
サイドバーへの情報表示は、β1で姿を消しているものの、Windows Vista(Longhorn)が初期から追求してきたものです。ネットの情報を小さなアプリケーションで表示するというアプローチは、Mac OS XのDashboradが、Widgetで実現しているものでもあります。
Googleのサービスを利用するための窓口を、ウェブブラウザからデスクトップへと広げるために、検索を主軸とした新ツールを用意したわけです。VistaやTigerのように、高度な検索機能が内蔵されたOSが主流となると、Googleの割り込む余地は少なくなっていきます。特にVistaでは、RSSを様々な形で利用するようになるため(この件については、別途記事を書こうかと思います)、「ウェブブラウザの外でネットの情報を使う」という考え方は、より重要となってきます。高機能なツールを用意し、Vistaが狙う機能を先取りすることで、OSが開拓する領域を先に開拓し、陣地を確保しておきたい、ということなのでしょう。

残念ながら、現在公開されている英語版では、日本語の検索がうまくいきません。(日本語の単語を検索すると、一文字ずつのor検索になってしまい、目的の情報が出てこないのです。例えば「パソコン」で検索すると、「パ」「ソ」「コ」「ン」の4単語で検索したことになってしまうわけです)
初期に登録されている情報サイトも米国内向けのものになっているため、日本ではいまひとつ実用的ではありません。
日本語版の登場が望まれるところです。
(なお、英語版のGoogle Desktop2を試すには、現在インストール済みの日本語版GDSを削除してからセットアップする必要があります)

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2005.08.12

X41 Tablet総括

以前の記事でお伝えしたとおり、X41 Tabletを買いました。
セットアップも終わり、メインマシンとして使い始めてから二週間ばかりになります。
ログを解析すると、X41Tのことを知りたくて見に来ていただいている方が多いようなので、この辺で使い勝手を総括しておきます。


率直に言って、レビューのために使った時から基本的な評価は変わっていません。現在売られているタブレットPCの中では、もっとも優れた製品といっていいでしょう。

一番のポイントは、通常のモバイノートパソコンとしてしっかりしていることでしょう。ベースがX41ですから当然ではありますが、通常のX41よりも、X41Tの方が使い勝手が良いのです。
理由はディスプレイ。タブレットPCはいろんな方向から見て使うことが多いため、視野角の広いディスプレイが必須です。以前使っていたHPのTC1100も視野角の広い特別なディスプレイを使っていますが、X41Tはそれよりさらに視野角が広く、ほぼ真横からでも見られます。これは、通常のX41に搭載されているものより高性能で、クオリティの高いものです。液晶のためだけに選んでもいい、といっても過言ではありません。
(それだけに、12インチでXGAという解像度が少し残念ではあります。SXGAならばもっと良かったのに……)


タブレットPCとして、他のタブレットPCより優れているのはペンの認識精度です。タブレットPCに内蔵されたタブレットペン・センサーは、PCから発せられる様々な電磁波の影響を受けやすく、細かな線よれが起きることがあります。ふつうに使っている分には気になることはないでしょうが、1cmの線を1秒かけて書くような場合には、脈打つようなよれが目立つはずです。特に絵を描く人には気になるものでしょう。
X41Tでは、電磁波の漏れを防ぎ、センサーの誤動作を防ぐ工夫がなされているため、線のよれがほとんど見られなくなっています。(どうも皆無、というわけではなく、TC1100などに比べ数分の1以下に減った、というのが実情のようですが)


では、ダメな点はないか?
というと、なくはないですね。さすがに。

一番気になったのは、ハードディスクの音です。HGSTの1.8インチ・40GBのものが使われているのですが、このドライブは特にシッピング音がうるさいことで有名なもの。けっこう「カッシャン」「カッシャン」と気になります。容量不足も気になりますから、このさい60GBに変更したいところなのですが、まだ手に入れられていません。

もう一つは、指紋認証機能。
なかなか使いやすく、セキュリティ向上にはありがたい機能なのですが、問題もあります。
ハイバネーションからの復帰速度が非常に遅くなるのです。
X41Tの場合、指紋認証機能をONすると、電源投入時に指紋認証が求められます。これはOK。
その後、ウィンドウズ起動時には、パスワード入力の代わりに指紋認証ソフトが動作することになります。(実際には、起動時に行った指紋認証情報が転送されるので、二回指紋認証をする必要はないのですが)

この、指紋認証ソフトの起動が難題。
ハイバネーションからの復帰時にも、裏で指紋認証ソフトが起動しているため、その作業時間分、ハイバネーションからの復帰が遅くなるのです。正確に計ってはいませんが、30秒から40秒長くなります。

セキュリティのためにはしょうがない、という気もしますが、毎日使ってみると一番気になる点だったりします。

あと、どうもウィンドウズ上での指紋認証より、起動時のBIOSによる指紋認証の方が認識率が良い気がするのですが……気のせいでしょうか。


実は、届いて2日目に、いきなり本体を閉じるための固定ラッチが壊れました。
でも、レノボのサポートで公開されている分解マニュアルを元にばらしてみたところ、バネがはずれているだけだったので、自分で元に戻して事なきを得ました。
自分で簡単に修理できるよう、十分な情報が提供されているサポート体制をありがたく思う一方、いきなり壊れたことについては不安も感じました。

とはいえ、僕はパソコンを買うと8割の確率で初期不良を引き当てる運の悪い男ですから、あんまり参考にならないかも知れません。
正直、「またかよ(笑)」という感じで……。

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2005.07.07

X41 Tablet 発注

仕事上のメインマシンを、HPのTC1100から、LenovoのThinkPad X41 Tabletに変更することを決め、発注を済ませました。

レビュー記事(7/15発売 アサヒパソコン誌掲載)のため、1週間ばかり使ってみましたが、現行のタブレットPCとしては最上の一品です。ディスプレイの表示方向を回転させた時のレスポンス、ペンの精度(線よれはほぼ見られなくなっています)、セキュリティ系の機能など、つかってわかる良さがたくさん盛り込まれています。
レッツノートなどに比べると倍の重さですから、もう少し軽くてもいいだろうに、というのが本音ではありますが、TC1100とはさほど違わないので気にしないことにします。

ちょっと気になる点もあります。アメリカ版からは仕様がかなり変更されているのです。あちらではBluetoothが内蔵されていて、無線LANも11a/b/g。値段もちょっと安めになっています。BTOで対応してくれても良さそうなものなのに・・・(まあ、理由はわかりますが)

届くまでは、もう少々時間がかかりそう。楽しみである一方、移行作業に必要な時間を考えると、ちょっとだけうんざりしないではないのですが。

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2005.06.28

IFilterShopプラグイン利用時の注意

知り合いから問い合わせがあったので、先日紹介した、GDSでIFilter形式の検索コンポーネントを使う「IFilterShop Google Desktop Search Plug-in」について補足説明を。
実際にIFilter形式の検索コンポーネントを使うには、プラグインをセットアップする”前に”、必要なコンポーネントをセットアップしておきましょう。あとから検索コンポーネントを追加しても、検索対象に追加されることはありませんので。
この点でひっかかって検索がうまくいかない、ということがあるようです。

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2005.06.23

いったそばから日本語版登場

昨日の記事で紹介したMSNサーチツールバーですが、24日(金)に日本語版が公開されることになりました。
アドレスは
http://desktop.msn.co.jp
の予定。

というわけで、あわてて英語版をセットアップするのは止しておきましょう。
(不具合はありませんが、再起動を伴うアンインストールが必要です)

月末くらいだと思って書いていたのに、、、

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Googleデスクトップ検索とOneNote

6/14の記事で述べたように、私はほとんどの情報をパソコン上に集約しています。
こんな使い方をするには、優秀な検索技術が必要になります。以前はアプリケーション毎の検索を使うことの方が多かったのですが、いまはすっかり「Googleデスクトップ検索」(GDS)に依存しています。パソコン内を横断検索するツールとしては、すでにおなじみのものですから、詳細は省きます。

GDS登場以来、様々な検索ツールが登場しました。MSも、MSNツールバーの最新版にて、IEへのタブ機能と検索機能(Windows Desktop Search)の両方を追加しました。英語版ですが、日本語環境でも問題なく動作し、検索も行えます。動作も比較的機敏だし、操作性も悪くないので、ブラウザとしてIEをメインに使っている人ならば、十分使えるツールです。(ただし、日本語文書の場合、文字コードがUTF-8であるものでは文字化けが起こる可能性があるようなので、やはり完璧というわけではありません。おそらく、近々日本語版が登場するのでしょう)

私も、一応、現在使える検索ツールは、Mac OS XのSpotlightを含め、すべて試してみましたが、結局GDSに戻ってきた、というのが結論です。
理由は2つ。
一つめは、ウェブのキャッシュも検索対象となるため、「この間読んだあの情報が欲しい」という時にも使えるということ。もう一つは、UIがシンプルでストレスがないことです。

この種のソフトを選ぶ場合、さらに問題となるのは、検索対象となるファイルの種類です。
実はこの点で、ちょっとだけMSNツールバーへの移行を考えたことがあるのです。
私は、取材メモにマイクロソフトのOneNote2003を使っています。テキストデータだけなら紙copiなどの方が良いのですが、タブレットPCを使った手書きメモを統合する場合、今はOneNoteを使うのが一番現実的なのです(不満は山ほどあるのですが)。
ところが、OneNoteのデータに最初から対応している検索ツールは、MSNツールバーだけです。取材メモだけはアプリ上で検索・・・というのも非効率的。ならMSNツールバーを、、、とも考えたわけです。

結論からいえば、結局乗り換えはしませんでした。GDSでOneNoteのデータを検索する方法を見つけたためです。

MSNツールバーは、非常に多くのデータ形式の検索に対応しています。理由は、データのインデックス化にOS側が持っている「IFilter」という形式を使っているからです。IFilter形式対応検索コンポーネントは、仕様が公開されていること、OSや各種サーバー・アプリケーションで利用されていることもあって、非常に数多くの存在します。例えば一太郎形式文書の検索コンポーネント、なんてものもあるわけです。(ちなみにOneNote対応のIFilterは、アプリケーションをセットアップする時、自動的にセットアップされています。ほとんど使われていませんが。)

他方、GDSもプラグイン形式で、検索コンポーネントを追加することが可能です。数は増えていますが、歴史が浅いことから、IFilterほど多くはありません。
ですが、ここで両者を組み合わせます。「IFilterShop Google Desktop Search Plug-in」を使うと、IFilter形式の検索コンポーネントを、そのままGDSで使えるようになります。これにより、GDSのプラグインとIFilterのどちらかに対応していれば、GDSからの検索が可能になるわけです。

GDSで自分が使いたいデータの検索ができない・・・という場合には、お試しを。

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2005.06.14

誤解されるもの-その名はタブレットPC

これがないと仕事にならない、という道具は誰にでもあると思います。
私の場合には、HPのノートパソコン、TC1100がそれにあたります。

このパソコン、ちょっと変わってます。タブレットPCなのです。

2002年秋、マイクロソフトが発表した、ペン操作による操作系を取り込んだ、ウィンドウズXPの派生バージョンを搭載したパソコン・・・なのですが、知名度は恐ろしく低い。
「そんなの使ってるのは、業界内であなただけだよ~」(有名AV評論家のAさん)
「仕事に使っている人、初めて見ました」(大手通信会社 重役)
様々なブログなどでも、「なんに役立つのかよくわからない」「キーボードで困ってないし」など、さんざんないわれようだったりします。(唯一、絵を描く人々からは注目されていますが)

でも、違うんです。タブレットPCは、皆さんが思っているように使う機器ではないのです。

第一の誤解は、「ペンはキーボードの代わりに文字入力に使うもの」という発想。確かにその機能はありますが、あまり便利ではありません。現在の認識精度と速度では、キーボードで打った方が早いですから。
第二の誤解は、「PDAのように個人情報管理に使う」というもの。PDAほど起動が速いわけではないですし、重量もノートPC並ですから、立って使うのは難しいでしょう。

じゃあ、ペンはなんに使うのか? 答えは、「絵と文字をラフに記録する」ためです。
ちょっとした計算のために式をたてる時、あなたはなにを使うでしょう? 紙にペンで書くのではないでしょうか。 アイデアを練るためや、人になにかを説明するために図を書くとき、まずほとんどの人は、紙にペンでラフ図を書くのではないでしょうか。
授業や講義の板書のように、文字と図・グラフなどが入り交じったものを記録するのは、キーボードによる文字入力だけでは不足です。だから通常紙のノートを使うわけですが、これら「キーボードではダメな記録」をするための補助機構が、タブレットPCのペン入力なわけです。
テキスト化するのでなく、書いたものを書いたまま記録しておく。
これがタブレットPCの基本です。

紙でできるなら、なぜわざわざパソコンでやるのか? 理由は2つあります。
一つめは、どれだけ貯めても場所を取らず、(消さない限り)なくならないこと。1000ページの紙メモは持ち歩けませんが、ノートパソコンなら問題ありません。その辺にあった紙に書いたメモがなくなった、なんてことは日常茶飯事ですが、データとして記録するならそんなこともありません。(バックアップさえ、とっておけば、ね)
二つめは、きれいに消せること。紙に書いた文字を完璧に消すのは難しいもの。試行錯誤を繰り返すと、アイデアメモはどんどん汚くなり、判別が難しくなります。でも、データならいらない線をすっぱり消せるため、非常に快適です。

紙を持ち歩くというより、無限に書けて、自動的に記録が残るホワイトボードを持ち歩いているようなもの、というとわかりやすいでしょうか。

私の場合、すべての取材メモとアイデアメモに、タブレットPCで手書きとタイプを併用しています。タブレットPC導入前には、年間25冊から30冊になった取材メモが、いまやすべてハードディスクの中に入っています。しかも、およそ3年分。同じ人に次に会うとき、前回のメモを見ながら話せるため、質問を導き出したり、矛盾を突いたりするのが楽になります。

重さやバッテリー持続時間、それに細かな文字が書きにくい、といった、パソコンならではの問題点と、かさばる上に失われやすく、消しづらいという紙の問題点を天秤にかけた場合、私の場合、紙のデメリットの方が大きい、というのが結論です。

とはいえ、ペンはやはり補助的なもの。普段の原稿執筆はキーボードでタイプしますし、操作はマウスかトラックポイントが基本。手書きが必要な時間は、一日の中でごく短い時間でしかありません。こういった用途の場合、「普通のノートパソコンとして使えるものに、ペン入力機能がある」のが重要。TC1100は、モバイルノートの中では、現在この要素をもっともうまく取り入れている製品の一つです。製品情報をみていただけばわかるように、実に奇妙なデザインですが、実用性はかなり高いのです。

先週、レノボがThinkPad X41をベースにしたタブレットPCを発表しました。「タブレットPCのメリット」を質問された開発陣は、「普通のノートパソコンである上で、ペンで書いた文書を残せること」と断言しました。これは、まさに私がこの2年で体感してきたことそのものです。

ちょっと触った感じでは、X41タブレットPCは、TC1100に並ぶ「使えるタブレットPC」になる可能性がありそうな印象です。レビュー記事執筆のため、近々レノボより借り受ける予定ですが、非常に楽しみです。

ビル・ゲイツはタブレットPCを愛用しており、「なにをなくしてもいいけど、僕のタブレットPCだけは失いたくない」と言ったそうです。この言葉、多分に宣伝的な物言いだと思いますが、その気持ち、わからないではありません。

とはいえ、タブレットPCというOSと、タブレットPC用のアプリケーションには、言いたいことが山ほどあります。(実際、MS開発陣にはずいぶん提案を投げかけています)
私としては、別に「タブレットPC」というOSに思い入れがあるわけではないので、同様のコンセプトの製品をアップルなど他社が出した場合、乗り換えるにまったくやぶさかではありません。むしろ、そういう製品を見てみたい気持ちの方が強いのですが。

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2005.04.26

夏PC俯瞰 Vol.2 「巨大画面PC」は「家電とPCの融合」ではない!!

さて、昨日の続きです。
この夏は、春以上に「大画面パソコン」が増えています。32型液晶採用の富士通のDESKPOWER TXだけでなく、NECも26型液晶採用機を投入しています。昨年末あたりは「大画面」であった20型クラスが、すっかり並の大きさになってしまう勢いです。
ニュースなどでは「家電とパソコンの融合が進む」とコメントされていますが、それは大きな間違い。これらの商品の意味は、また別のところにあるのです。

大画面が望まれる理由は、テレビとして使った場合の見栄えです。単純な理由ですが、「なんでそんなものがいるのか」という疑問しか抱けないパソコンユーザーも多いのではないでしょうか。

テレビ並の大きさのパソコンは、テレビのように数メートルの距離から使うにはいいものの、卓上において従来のパソコンのように使う場合、画面が巨大すぎて使い勝手に問題があります。20型クラスまでで、解像度が高い場合にはまた別のなのですが、多くの機種はWXGA(1360×768ドット程度)までで、単に「妙に大きなディスプレイ」の域を出ていません。

パソコンである以上、パソコンとしての使い勝手に劣る製品がなぜ続々登場するのか? 「家電パソコン」なんてそんなに便利でもないだろうに…… そう思う人が少なくないはず。私も、自分のニーズに合わせて考えるとそう思います。

ですが、パソコン市場をとりまく状況は、そう単純ではないのです。これらの「大画面パソコン」は、ブログやメールが生活の一部となっている(我々のような)人々とは、まったく別のニーズから生まれている、と理解すると、すべての疑問が氷解します。

カギとなるのは、これらの大画面パソコンのすべてが、パソコンの電源を入れることなくテレビとして楽しめる「インスタントテレビ」機能を持っていること。パソコンの起動を待つことなく、まさに「テレビ」の感覚ですぐに使えるのが利点です。
確かに便利なのですが、逆にいえば、四六時中パソコンを使っていない人には、いまひとつ意味がない機能でもあります。ということは、これらの機能を喜ぶ人々は、「あまりパソコンに電源を入れていない」のです。

私も含め、パソコンが生活に浸透している人の多くは、家に帰ったらまずパソコンに電源を入れ、あとは寝るまで立ち上げっぱなし……という使い方をしているのではないでしょうか。インターネットに常につながった「通信機器」としての側面を重視すれば自明のことですが、すべての人がこういう使い方をしているわけではありません。
ウェブやメールが生活に染みこんでおらず、「必要な時だけ電源を入れる」という人だって多いのです。
そんな人々、特に熟年層から、こんな声を聞きます。
「パソコンのディスプレイはテレビにならないの? あんなにでかいのに」。
場所をとるのにパソコンとして使わない時には役立たず、という存在が、彼らには許せません。かといって、テレビを見るためだけにパソコンを起動するのは面倒だし、使い勝手も今ひとつ。

とすれば、パソコンとしての機能より、テレビとしての存在感を重視しても不思議はありません。しかも小難しい割にはいっこうに体感できないCPU性能やチップセットの種類と違い、「画面」というアピールポイントは誰の目にも違いがはっきりわかります。

パソコンとしての本質からずれている、一時のあだ花のような製品と笑うのは簡単です。しかし、商品として立派な価値を持っていることは否定できません。「いるひと」と「いらない人」が恐ろしくはっきり分かれていますが。
それに、実に後ろ向きな話ではありますが、パソコンとして使わなくなった時でも、テレビとしては立派につかえるわけですし。

「パソコン」という言葉から描かれるイメージと、それに対するニーズの広さを示す、面白い傾向といえます。

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2005.04.25

夏PC俯瞰 Vol.1 いかにして「ハイビジョン録画」は可能になったか

先週末(4/19)、富士通の夏商戦向けパソコンが発表になったことで、この夏に店頭で売られるパソコンがほぼ出そろいました。そこで3日ほどかけて、「夏PC」の注目点とそれが生み出す影響を語っていきましょう。

夏PCで一番の話題は、富士通の大型液晶採用パソコンDESKPOWER TX TX90L/Dです。

32型の大型液晶(同社関係者によれば「S社のK工場製」とのことですから、あの会社のアレでしょう)が採用された、まるで大型テレビのようなパソコンです。

大きいことそのものにも意味があるのですが、それは明日にとっておくとします。ここで注目したいのは、同機がパソコンとしては初めて、国内のデジタルハイビジョン(HD)放送を、「ハイビジョンのまま」録画・再生できるパソコンだということです。

HD放送の録画そのものは、2年前にNECが実現しています。しかしその時には、HD放送データとしてハードディスクに記録するものの、標準画質(SD)としてしか表示できませんでした。理由は、放送事業者側がそれを認めなかったからです。

ARIB(社団法人 電波産業会)の規定によれば、パソコンにおけるデジタル放送の録画を行う際には、いくつかの条件があります。
第一の条件は、「データが平文のまま蓄積されたり、汎用バスを通ったりすることがないこと」。もうひとつは、「録画データは録画した機器でのみ再生可能にすること」。どちらも、デジタルtoデジタルで映像をコピーされないようにするための方策です。

そのため、NEC方式でも富士通方式でも、デジタルテレビチューナーカード側に暗号化チップを搭載し、受信したデータの暗号化と再生をカード側で行うことで、この規定に対応しています。

1年前までは、さらにこのような規定もありました。
「PC側で表示する場合には、480P以下にダウンコンバートして表示すること」。
NECがHD映像の表示に対応していなかったのは、パソコンでのHD表示が認められていなかったからなのです。

今回は、富士通がARIB側にこの規定の緩和を求め、それが認められた結果実現できたことになります。同社関係者は、「昨年9月頃からARIB側の態度が軟化し、実現にこぎ着けた」と説明しています。
とすると、今後NECなどもHD映像の表示に対応してくるの間違いないでしょう。
ただし、録画したパソコン以外への映像持ち出し(ムーブ)は、「そこまでは許すつもりがないようだ。いっこうに糸口が見えない」(前出関係者)といいますから、まだまだ道のりが長そうです。

実は富士通方式のテレビチューナーカードは、同社だけで開発されたものではありません。同社の暗号化LSIを使い、同社とあるテレビチューナーカード・メーカーが共同で開発を行ったものです。そのメーカーとはピクセラ。国内パソコン用テレビチューナーの7割をOEM生産する最大手です。富士通の発表に先駆け、3月31日にはデジタル放送録画対応チューナーの発表も行われています。
このチューナーを採用した機器が、年内に数社から出てくるのは間違いないでしょう。

ただしこのチューナーカード、「暗号化仕様を守る目的から」(ピクセラ担当者)OEM供給のみが行われ、一般市場には出回りません。自作PCでHD録画、は当面難しいということになります。

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2005.03.22

フィッシングメール届く

UFJ銀行を騙る日本語のフィッシング詐欺メールが増えています。(以下は、同社による注意を促す告知)

http://www.ufjbank.co.jp/ippan/oshirase/050315_chuui.html

私のところにも来ました。
問題はどこから来たのか、ということ。
私はUFJ銀行を利用していないので、UFJ関連企業からの流出ではないでしょう。あくまで予想ですが、海外から来るVISAを標的としたフィッシング詐欺メールに似たところがあるため、海外の組織が名簿内から日本人のアドレスと思われるものを抽出して配信しているのでは、と考えています。

日本では迷惑メールや振り込め詐欺の影に隠れ、被害が少ないものの、アメリカでは年間24億ドルもの被害が発生しており(米ガードナー社・2004年調査)、深刻な社会問題となっています。

そのため、メールソフトやウェブブラウザには、今後フィッシング詐欺メール対策機能が盛り込まれようとしています。例えば、ネットスケープ8やインターネット・エクスプローラ7(IE7)では、信頼できないメールやウェブサイトでは、個人情報の入力をブロックする機能が追加されます。ベータ版は夏までに、正式版も年内には公開される予定です。

では、「信頼できるかできないか」をどうやって確認するのでしょう? IE7で採用されるのが「ヒューリスティック(Heuristic、経験則的)アプローチ」という手法です。今年の1月、米マイクロソフトでIEなどの技術開発を担当するライアン・ハムリン氏に取材した時、「次期IEとアウトルック2003のサービスパックに盛り込まれる仕様」として、以下のような説明を受けました。

・現在、MS社内でフィッシング詐欺メールの特徴を洗い出して法則化する作業が進んでいる。
・この法則をソフトに盛り込み、メールやウェブを読み込む際に「フィッシング詐欺メールらしさ」を評価、リスクをわかりやすく表示する。
・あきらかにフィッシング詐欺メールとわかるものは、ウェブサイトへのアクセスや情報の入力を遮断する

フィッシング詐欺メールにはかなり明確な特徴があり、かなりの確度で検出が可能です。(件の日本語フィッシング詐欺メールも、この特徴を完全に備えています)

その特徴とは、

・メールアドレスを詐称している
(メールヘッダから経路をたどると不自然な点が多い)

・情報を入力させるために誘導するウェブサイトのURLに、生のIPアドレスが含まれ、しかも、SSLを利用していない
(ドメインの取得やSSLの利用に必要な認証をうけることそのものが、犯罪者グループの足跡になるため、彼らはそのような行為を行わないのが常)

・HTMLメールで送られてくる
(情報入力用のサイト名を詐称するため)

・重要な情報をネット上で入力させる
(そもそもそのような行為を、管理体制に厳しい金融企業は採用しない傾向が強い)

詐欺防止機能が登場するまでは、これらの特徴を憶えておいて、自己防衛に勤めるのがいいでしょう。

ちなみにこれらの機能が盛り込まれたIE7は、ウィンドウズXP・SP2専用に提供されます。「技術的に、古いOSには対応がむずかしい」(前出・ハムリン氏)という理由はわからないではないのですが、ユーザーの目で見れば「釣った魚にえさを与えない行為」と非難されても仕方がないでしょう。

世の中には、雑誌もウェブも見ず、「お金がもったいないから」という理由だけでウィンドウズ9x系OSを使い続けている人々がまだたくさんいます。セキュリティ上一番大きなリスクを抱えているのは彼らであり、彼らへの安全を提供することは、マイクロソフトにとって義務であるはずです。

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