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2006.07.04

W-ZERO3 [es] 発表

ウィルコムの新機種、W-ZERO3[es]が発表になりました。

私も会見で触ってきましたが、ひとことでいえば「きにいりました」。

小さくて豆粒のようなキーボードも、出っ張りが適切な大きさで押し下げ感が良く、十分にタイプできる印象でした。私の好みからいえば、ノーマルのW-ZERO3(003、004)よりも押しやすく感じたほどです。また、推測変換機能付きのATOKの効果も絶大でした。

ソフトを足して「自分なりの環境」を作らないと実用性が低い、というのがW-ZERO3の欠点でしたが、今回はソフトを最初から追加することで、不満点を少なくする作戦にきた、というところでしょうか。

2.8型のVGA画面も「小さすぎるかな」と思ったのですが、そうでもなく。小さなフォントでたくさんの情報をフルに表示するのでなく、見やすい大きさのフォントを、より多くのドットで表示してさらに見やすく……といった使い方に向く、という印象でした。

スペックや会見のプレゼンで言及されたことは多くのサイトで報じられるでしょうから、ここでは八剱社長などウィルコム関係者から直接聞いたことを中心にコメントしていきましょう。


1:「W-ZERO3ブランド」と今後の端末施策について。

この夏は、W-SIM対応端末が多く発表されました。この件について、八剱社長は「W-SIMは開発速度が速い。一般的な端末は開発の足が長い(注:期間が長い、という意味)ため、この夏には準備が出来なかった」と言います。意図的に季節を分けているわけではないものの、開発難易度の問題から、今夏は「W-SIM重視」になってしまった、ということのようです。

では、[es]はいつから開発していたのか?

「いいとこ突いてきますね。実は、W-ZERO3をみなさんに発表したくらいの時期から始めたんです。皆さんが行列を作ってくれたことを確認して……というわけではないですが、かなり手応えを感じていましたからね」(八剱社長)

とすると、[es]の開発期間は、長く見ても9ヶ月、短く見ると8ヶ月程度ということになります。
これは、一般的な携帯電話に比べ短いものです。中には半年程度で準備される端末もあるのですが、ヒットすれば100万台出荷される携帯電話と比べ、PHSはまだまだパイが狭い。巨大な売り上げを見越した人海戦術が採れる携帯電話とは事情が異なります。

「まあ、提携している身びいきではないですが、シャープさんだからできる、といっても過言ではないのでは」(八剱社長)とも言います。

シャープ側にとっても、今回の開発期間はかなり短く、大変なものだったようです。
シャープで情報通信事業統括を担当する、松本雅史取締役副社長は、以下のように語ります。

「今回は、シャープの持つデバイスやノウハウをできる限り投入した。我々は他社のように分社化していないため、総合力が発揮しやすい。組織変更の効果が出た格好だ」

実は、シャープでは昨年まで、「携帯端末」に属するものを2つの部署で開発していました。携帯電話を担当する、広島に本拠を持つ「通信システム事業本部」と、奈良に本拠を持ち、PCやザウルスを担当する「情報通信事業本部」です。W-ZERO3は後者が中心となって開発した端末であり、それは今回も例外ではありません。

しかし松本副社長によれば、「4月に組織改編が行われ、両事業部で人員やノウハウを透過的にやりとりして開発が行えるようになった。私も、情報通信事業統括の他に、商品事業も担当することになり、エリアが広くなった」といいます。

携帯電話がよりスマートフォン的になっていくことに対応すること、PCやPDAに通信機能が必須となっていることに対応するための施策ですが、W-ZERO3はその成果、というわけです。

では、W-ZERO3(003SHや004SH)と[es](007SH)はどう住み分けるのか? 八剱社長はこう説明します。

「おそらくは、004が企業向け、ということになるでしょう。個人の方は007のデザインや小ささに惹かれるようですが、企業案件ではディスプレイの大きさを重視する声も大きい」

とすると、007の投入が近いにもかかわらず、004が投入された理由も見えてきます。004と007で採用されたOSには、企業向けのプッシュメールやセキュリティ強化、マイクロソフトのExchangeサーバーへの対策を盛り込んだ「メッセージング&セキュリティフィーチャーパック(MSFP)」という機能が組み込まれています。003にはこれがなく、企業導入を狙うには機能が足りない、と判断されたのでしょう。

ちなみに出荷台数は、「W-ZERO3シリーズ全体で、今年度発売分だけで50万台。半分くらいは[es]になるのではないか」(八剱社長)とのこと。発売時の「10万台程度」というところから比べると、かなり強気な見通しに思えます。


2:旧機種のサポート

[es]では、003・004で問題となっていた部分が、ソフトウエアで改良されています。
最大の改良は、通信中の着信が可能となっていることです。また、ATOKの搭載も、操作性向上には一役買っています。

これらはソフト的な改修であるため、旧機種でも使えそうな印象を受けます。
ウィルコム担当者にその旨をたずねてみると、以下のようなコメントが返ってきました。
「シャープ側と、なんとかできないか交渉中」

特にATOKについては前向きであるようで、可能性はかなり高い、と見ていいでしょう。


3:USBでの拡張について

[es]の特徴のひとつが、USBによる拡張性。中でも、無線LANとBluetoothについては、利用頻度も高そうであるため、気になるところです。
この点についても、ウィルコム担当者にたずねてみました。

「現在は、いくつかの周辺機器メーカーにお声をかけさせていただいた段階。展示したものも、『とりあえず動くようにした』だけで、製品とはかなり違うものです。おそらくは、各周辺機器メーカーから[es]対応機器が発売されることになるでしょう。必要となるのは、[es]向けのドライバソフトの開発。まだまだ緒に就いたところですから、[es]発売と同時に店頭に並ぶ……というわけにはいかないでしょう」

特にBluetoothについては、ActiveSyncやPCでの通信などに有用であり、気になるところだったのですが、少々時間がかかりそうです。残念。

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